執筆者：ゆい
恵子さんは、後天的な霊能力の目覚めを経由してイタコになりました。
今回は恵子さんがイタコになったきっかけと、なぜ今のようなスタイルになったのかをお伺いしました。
恵子さんがイタコとしての能力に目覚めたのは事故がきっかけでした。
霊能者の多くが生まれ持ったものや血筋であることが多いなか、少数ですが事故や生死の境をさまようような大病で霊的な能力が目覚める人もいます。
では詳しく見ていきましょう。
このページで分かる事
きっかけは事故
恵子さんはイタコになる前から山などに向かうことが多く、山菜やキノコなどを探すことが好きでした。
中には崖などの切り立ったところに群生するものなどもあり、それらを集中して狙っていくことで落下事故などにあうひとは少なくありません。
恵子さんもその一人でした。
今回は恵子さんがイタコになるきっかけの崖の事故の話を聞きたいのですが
恵子さん
そうねえ……ちょうど崖の処をおりながら山菜をとってたんだけども、慣れてた場所なのもあってちょっと油断してたのよね。それで、踏み外してしまって落下しちゃったんだけども
そのときってどんな風に落ちたんですか？落ちたというか、こう怪我をしたというか
恵子さん
普通に転がり落ちた感じね。でも高さは5メートルくらいだったと思うし、下のほうも柔らかめの土だったからわりと痛みはなかったのよ。ただ……すぐに立ち上がって歩けるってものではなかったくらいには痛かったのは確かね。しばらくはそこにうずくまってたから(笑)
いや全く笑えないですが……
恵子さん
その時にやけに土の匂いがはっきりと感じたというかね。あれ、土ってこんな匂いしたかしら……ってのはすごく覚えてるのよ
はい
恵子さん
そのあとに、体が動かせるようになって、帰りに岩盤浴によって帰ったのよ。打ち身だったから岩盤浴がいいって前に聞いた気がしたから
何ともその辺は言えないですが、効くとは聞きますね
恵子さん
それでしばらくは普通に過ごしてたんだけども、だんだんなんだか普段聞こえないものが聞こえるというか。誰もないのに話し声や声が聞こえるというか
それまではまったくだったんですか？
恵子さん
まったくなかったのよね。なにもみえないし、霊とか言われても全然わからなかったもの
ある意味、霊的な方にとってはとんでもない逸材が出てきてしまった感じがしますよね。今となってはですが
恵子さん
そんなことないわよ。最初はザワザワしたり、こう、コソコソと何かを言われる感じであたりをかなり見てたのよね。でも、誰もいないし、だんだん家の中にいても話し声や誰かが頬を触ったりする感じとかもあってね。それがあってから、今度はぼんやりとした人影が見えるようになってきて、これはもしやって思ったのよ
きっかけはすぐに分かった感じですか？
恵子さん
うん、あの崖から落ちて少しの間うずくまってたんだけどもほんの数分たぶん気を失ってたのよ。その時なんじゃないかなって予想はたてられたのよね
ええ
恵子さん
このままだとうるさいし、目障りだし何とかしたくなったのよ
目ざわり(笑)すでに恵子さんの原型ができてますね(笑)
恵子さん
だって本当に、視界に入るのが鬱陶しいんだもの。飛蚊症かと思って眼科にもいったのよ。それでも何ともないし、そのうちに形もハッキリとして来たからこの目障りなものをどうにかしたいって考えたのよね
ええ。それで、どうなさったんですか？
恵子さん
最初は私になにかそういうものが山からついてきたと思ったのよ。だからお祓いしてもらおうと思って人伝に紹介してもらった霊媒師さんのところに行ったのよ
はい
恵子さん
それで見てもらったんだけども、その人からさらに違う人を紹介されたのね。そんなにひどいものが憑りついているのなら仕方ないってその時は思ったんだけども
違ったんですね……
恵子さん
結果としてはね。ただ、その紹介してもらった霊媒師さんがすごくしっかりとした人というか、私に何が起きているのかを説明してくれたのよ
はい
見える人
霊的な能力はもっているだけではなかなかうまくいかないものです。
どのように使うか、自分の能力がどのようなものなのかを把握することで霊媒師やイタコ、占い師、退魔師など細分化されて行きます。
紹介してもらった霊媒師さんは何とおっしゃったんですか？
恵子さん
あなたが落ちた所にたまたまその土地の神様がいて、気まぐれであなたを助けてくれた。神様からしたら入山の際に必要以上に荒らさない、時々お地蔵様にお供えも置いていく。その気持ちに対しての軽いお礼のつもりだったらしいんだけれども、山の神様の本体だったからその軽い力がとても強かったのね、って言われたのよ
そういえば、恵子さんは山の神様関連との縁が多い気はしますね
恵子さん
その力は一回入ってしまったら取れないものだからどう付き合っていくかになる。あなたがしっかりと能力を使って、人以外のものとの付き合い方を学び、どうするかを考えるほうがいいといわれたのよ
イタコの恵子さんの誕生の瞬間ですね
恵子さん
そうなるのかしらねえ……でもね、そのときは鬱陶しいものがなくなって普通に生活できて、うるさくない環境で眠れたらいいっていうのが希望だったのよね。なのでその環境になるならと思って、しばらくその人の所に通うことになったのよ
と、いいますと？
恵子さん
ちらちら見える、ぼんやり見える、をはっきりと見えるにしていく練習をそこで受けることになったのね
はい
恵子さん
見えるようにすることで、見えないようにそぶりをすることもできるし、見えることでそれをどうしたいかも考えられるようになる、選択肢が増えて安全策の取り方も増えていくという考えがあったのよ
今の恵子さんのお祓いとか除霊も、いくつかの選択肢を作っていってそこから選んでますものね
恵子さん
見えるようにするためにかかったのは1か月くらいだったかしら
見えるようになったんですか
恵子さん
なったのよね。だと今度は、はっきりと聞こえない何かの声をはっきりさせたくなってね。それで、聞こえるようにするにはどうしたらいいのかを相談してみたのよ
はい。理屈としてはわかります。でも、今みたいになってない……見えるけどもそんなにはっきりと聞こえないってどんな感じなんですか？
恵子さん
雑音みたいっていう人が多いけども、私は混線してる電話みたいな感じだったのよ。じりじりとした音の中にぶつ切りというか、途切れながら単語が聞こえる感じ。それ以外だと水の中で音を聞くような感じに何か膜が張ってるというか。私はあんな感じだったわね
なんとなく分かった感じがします。事故の後遺症とかはなかったんですか？今更な質問ですが
恵子さん
それがなかったのよね。むち打ちとか普通でるんだけどもまったくなかったのよね。代わりにこんな風になってしまったのが後遺症なのかもしれないんだけれども
落ちただけでそうなるのもなんか大変ですよね
神様の感覚と人間の感覚
恵子さんの見える力は神様からの軽いプレゼントから始まりました。
神様から見て「些細な返礼」であっても人とっては大きなものでありなおかつ、思いもよらない方向に向かってしまう。その結果として恵子さんのように後天性で見える人になってしまう人も出てくることに繋がります。
ですが、この状態を故意に作ろうとしたりしてもうまくはいかないことがほとんどです。
後天性の霊能者の方って命の危険を通過してる気がするんですよ
恵子さん
そういう人も多いわね。実際のところ
何かやっぱりあるんですか？
恵子さん
生きるか死ぬかって部分で本来見えないようなものが刺激されるんじゃないのかしらね。ただねえ、望んでそうなったとかいう人は本当に少ないと思うわよ
やっぱり、なりたい人っているんですか？
恵子さん
いるわねえ。それで大けがしたり、後遺症が残ってしまったり……ヒトと違う何かになりたいっていう人、特に若い子は”自分はみんなと違う“とか言うのにあこがれるんだろうけども
クラスに一人いる感じの霊感がある子ですかね
恵子さん
あれもね、見える見えるとか見えないのに言わない方がいいのよね
？
恵子さん
霊的な存在の欲求ってある程度に通ってる部分があるのよ。たとえ見えない、わからない人であってもなんども相手の気持ちを察する言葉を言い続けたらどうなると思う？
うーん……かなわない恋でもその気持ちわかる、つらいのもわかる、すごくつらかったのね、とか同情的な事を言い続けるって感じですか？
恵子さん
まあ、そんな感じよね。たまたま飢えでなくなった霊的な人にいっぱい食べたかったよね、とか言ってしまってそれが霊的な存在の滞在原因だったりすれば
……………………
恵子さん
この人は自分をわかってくれている。この人は自分の存在を理解してくれているってなるわよね。人だったころの思考がそのまま残ってるなんてまずないんだから。どんなに人の形をしていても考えの主軸は”自分の欲求を満たす“になってるから
怖いですね
恵子さん
当てずっぽうや適当なことでそういうものを引き寄せてしまうこともあるのよ。そしてそういうのを引きはがすのはすごく厄介なの。最初にあるのが”この人は自分をわかってくれているんだ“であってそれが違うことを告げれば”だましたな！裏切ったな！“に変わるのよ。この時点で説得は相当霊的な力の強い人じゃないと無理なのよね。しかもだいたいこういうことをするのは若い子なのよ。私の修行時代にもいたわねこういうことで同席した子が
どうなるんですか？
恵子さん
こうなってしまうとね、相手もただでは引き下がらないのよ。私が同席した子は結果的に見える側になってしまったわ。なってしまったというか、見えるようにさせられてしまったというか
…………大事故ですね
恵子さん
大事故よね。しかも治る見込みのない。こういうのは極端でもないとは言えないのよ
でも、恵子さんならそうならないでなんとしかしてあげることができるんじゃないですかね？
恵子さん
今ならね。あの当時は私もまだ相談途中だったし、私の話を聞いていた方もそこまで強硬手段に出る人じゃなかったのよ。説得しようとして双方にどうにか温暖なようにしようとしてね。それが裏目にでてしまった。説得は大事だけれども被害を最小限にするためにはこちらも強く出る必要があるのよ
恵子さんはそっちですよね
恵子さん
修行時代にそういうのも何度も見てるのよね。優しい霊能者でも第一線で生き残っている人、無事な人は一見優しいけれども見せない強さがしっかりとある人がほとんどね。愛子さんとかがそうだっていうとわかりやすいでしょ
わかりやすいですね
恵子さん
私みたいに明らかに消滅を最終手段にするのが見えるよりもずっと怖いと思うわよ、霊的な存在から見れば。何を本心としているのかを読み取ることができないんだから。交渉を彼方から持ち掛けてくる場合にも私みたいな方に来ることが多いわよ
なるほど
恵子さん
そうやってね、見えるほうに無理矢理になってしまうといくら自分が望んでいた事とは言えつらいことばかりになるのよ
と、いいますと
恵子さん
だって、今度は本当に見たくもないものや腐ったものが自分に対して本気で助けを求めてくるのよ。ある程度、霊的な存在がどのような物なのかを理解し、どのように対処するかを身につけようとしてる修行者とは違ってくるのよ。しかも、どこにいてもそれは入ってくるし、逃げることもできないんだもの。常に監視されている状態なのよ、人じゃないものから
普通だったら耐えられないですね
恵子さん
だから修行するのよ。でもね、そういう子って中々もたないのよね。消息不明になってしまった子や外界との接触を一切立って本山とかでの生活を選んでしまった子もいる。見えるようになってしまったらどうするかをしっかりと考えることは今後の生活までかわってくるのよ
本山での生活って出家みたいなものですか？
恵子さん
そう考えるといいかもしれないわね。たまたま相手の気持ちを当ててしまった、たまたまその霊的な相手がとても大きく強い力を持っていた。そうなると、無理やり引き出された力も良くない者を引き寄せ安く、しかもそれなりに強い。そうなってしまうとイタコや霊媒師とかではなく本当に出家して今後のすべてを祈りやそういうものに捧げるしかなくなってしまう。だから、いたずらにそういう事はしてはいけないのよね
納得できます
恵子さん
いまでも定期的にいるけれどもね。なんというか、今はネットとかでそういう力を持ってる人と知り合って、才能があるって言われてとかいうのも多いわねえ……
SNSの弊害って感じですね
恵子さん
引き出す者の存在でも大きな変化が出てしまったという感じよね。私はすごくよかったというかね。善意での者だったというか
恵子さんのはそう考えるとすごく良いパターンですよね
恵子さん
そうなるわよね。見えるようになるきっかけっていうのはいろいろとあるけれども、後天的なもので自分から招き入れてしまった場合には“望みを叶えた”っていう条件を契約完了と取る霊的なものもいるからねえ……ああいう存在との契約っていうのはどんなかたちであれ成約したら遂行しなければいけなくなってしまうからねえ
恵子さんによく持ち込まれるトラブルですよね
恵子さん
そうね、願いを叶えてもらったんだから彼方の要求を受けなければいけないという図式がね。それを壊すのは本当に大変だからそういう迂闊な行動はしないほうがいいのよ。例えばだけども、道祖神にお供えをしてそのお礼を受け取りたくないとかならまだいいのよ。一方通行な部分があるから。でもね、契約というのは双方の意思がきちんと向いていることになってしまうからね
クーリングオフできないですからね
恵子さん
本当にね。見えないのに見える振りはしないほうがいいし、でもいつの時代もそういうのに憧れるのかしらねえ……本当に見えるとすごく面倒なんだけども
人と違う自分や他よりも優れてる自分がしたくて、何万人ってフォロワーを作ったりすることもいますね。私が学生だったころよりも歪みはひどいなあって思ってます。今のほうが
恵子さん
あなたの場合はすごく自分で使いやすいようにしてるのが見ていてもわかるし、ネットとかよりも実生活を重視してるものね
ですねえ。ネット経由で実際にあったりするようになるお友達もたくさんいますけども、そうなるって本当に少ないですからね
恵子さん
人と違うってそんなにいいものじゃないのにね
すごく見下してくる人とか喧嘩売ってくる人もいるので、タイミングがあったので対面したらすごくおどおどしてるとか多いですね
恵子さん
本人が何もせずにただの虚飾を盛り込んだところで、必ずはがれちゃうんだけどもねえ
見えない人が見えるとか言っても昔はすぐばれていた気はするんですよ
恵子さん
対面だとね。表情や話し方でわかるだろうけども、それがネットを介してのものだとわからないでしょ？まして表面だけの付き合いの人たちだったらなおさらに。適当に相槌を打ってくれるのも文字だけなら肯定に見えてしまう。そういう行き違いやかけ違いを作ってしまうのが怖いところよね
ですねえ。便利なツールである反面トラブルも招きやすいとは思ってます
恵子さん
今後はそういう所で恨みを買ったり、不用意に誰かの呪いや対価を押し付けられる子も増えてくるんじゃないかしら
あー……増えそうですねえ。若年層とかはすぐに煽ってきますし殺すとか言ってきますからね
恵子さん
そういう気持ちに反応して引き寄せられるもので善いものはまずないからねえ……私の時とは違う方で見えるものが増えていくのも時代なのかしらね
そんな時代はいらないかと思いますが……
恵子さん
本来はなくてもいいわね。でもねえ、そういうもの対応できる霊能者たちも必要になるのかもしれない。まあ、私は来たものをどうにかするしかできないししないけれども
今は本当に顔出しとか特定できる事をすぐにかいてるから怖いんですよね。私がネットを触り始めた時とは全然違うので
恵子さん
不用意に人以外のものと接触できるツールとして完成しつつあるからねえ。自分の意志とは関係なく事故で見えるようになる人に追加して増えていくのかもしれなわね
それもなんか怖いですね
恵子さん
見える、から先に進まないと自分の身を守ることができないからね。ただ見える、聞こえるだけだと本当につらいだけなのよ。常にだれかの呪詛と、うめき声を聞いたりしてる状態だからね
そのあたりの対応や修行のお話もお聞きしたいです
恵子さん
個人でかなり違うけれどもそれでよければ
おねがいします
現代での見える人の増え方はSNSなどの承認欲求も絡んでいる人が多いらしいです。
便利な反面、とても怖いと感じるお話でした。
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