執筆者:ゆい
女性副住職を務めている恵美さんですが、10年前の震災の際には現地に赴いての活動なども行っていました。
今回はその活動の中であった、「駆け込み成仏」のお話を恵美さんにお伺いしてきました。
女性副住職を務めている恵美さんですが、10年前の震災の際には現地に赴いての活動なども行っていました。
今回はその活動の中であった、「駆け込み成仏」のお話を恵美さんにお伺いしてきました。
こんにちは。今回もなんか面白い話を聞かせてもらえると聞いて
恵美さん
んー、ご家族の方からお菓子と海産物頂いたからおすそ分けしようかと思って
ごちそうさまなのです
恵美さん
10年たっても交流というかなんというか、ありがたい限りです
凄惨だったからねえ。こう、難しいとは思うけどもほっこりするような話はないものかね?
恵美さん
あったよ~
たまにはそういうのを
恵美さん
乗り遅れないようにご注意くださいって感じのやつだったけども
物事にはリミットがある
地縛霊という言葉があります。
これはその場にとどまり続けることでこの世に残れるように強い念を持っている霊であると思う人がほとんどではないでしょうか?
ですが、望まぬ地縛霊というものも中にはいます。これは成仏するタイミングを見誤ってしまい、土地に固定されてしまったなどがあります。
特に大きな事故や災害などではこのパターンが多いらしく、本人は成仏したいのにできないという状態などが発生してしまいます。
乗り遅れない感じに、とは?
恵美さん
なんというかね、亡くなったのに気が付いてない人とかが予想以上に多くてね。説得できる場合は説得するんだけども、理解が追い付かないとかいう人もいるんだよね。そういう場合だと3年くらい留まってたりもするよ
3年とかだとどうにもならない気がしてくるけども大丈夫なの?
恵美さん
いや、半固定状態だから早めに上にあげてやらないとそこから動けなくなっちゃうからね。みつけて説得できるなら成仏させてあげたほうがいいんだよ
3年もそこにいるものなの?
恵美さん
この場合に多いのが、ご家族もみんな被災して亡くなってしまっていてそれに気づいてない事になるね。ほかの家族が上に言っているのに気づかずに探してしまっているというのが多いというかね。それで自分でどうにもならなくてってパターンかな……
やっぱりそういう方もいるんだねえ
恵美さん
家族愛が強いが故っていうのもあるんだろうけども、そういう駆け込み成仏もあるんだよね。私もばあちゃんもそういう人を結構見てきたし
駆け込み成仏。力強い表現ですな
恵美さん
今ならまだ簡単にいけますよ~っていってひきはがしちゃうんだけどもね。自分が納得してないないと、長期間そこにいることで土地とか石とか、モニュメントみたいな形のあるものに同化してしまうんだよね。なので、そうなる前に剥がしていくべきところに送ってあげないとみんな不幸せになってしまう
地縛霊とかは自分で望んでそこに残ってるだけじゃないのね
恵美さん
うん、でも自分で望んでって思ってる人のほうが多いかなあって。そういうちょっとどうにもできない人を3年目までは引き上げてたかなあ。駆け込み成仏でも間に合えばいいわけだし
強い願いがある場合
自分で望まない場合もあれば望む場合もあります。望む場合には強い願いなどがあることが多く、その願いが叶うことで成仏することも珍しくありません。
災害で望んでそこにとどまるとかはあんまりないよね?
恵美さん
や、あった。娘さんの結婚式とか、息子さんの卒業式を見たいって残ってしまってるご両親とかもいてね。そういう人たちはその後に自力で上っていける人と、上るだけの体力がない人に別れちゃうのはあまり知られてないんだよね。だから、体力がない人の手伝いとかはしなきゃいけないわけで。でも、ねえ。私とばあちゃんだけじゃ1日に見付けて対応できる数なんて限られてるから明らかに自分でどうしたらいいのかわからない人を見付けた時に対応してた。ある程度時間がたってもまだ残っている人だとわかりやすいんだけどもね
いいほうの希望でも残るんだねえ
恵美さん
どっちかっていうとそのほうが最初は多いんだよね。あの人を少しだけ見守りたいとかそういうので。そのうちのその人に失望したり、絶望したりして悪い存在になってしまうこともあるからね。そうなってしまう前に成仏できるようにしないと。そういう方々も時折、顔をだしてくれるのでありがたいよね
恵美さんのお寺にはいろんな人が来るよね
恵美さん
本来は霊的な存在と人間、あちらとこちらの区別のような場所だからね。気軽に来ていただけるのはいいことだと思ってる。きちんとした状態であり、修行も積まれてる方々だからね。みんな仏さんになるんだよ最後に
思わぬことで納得できないって人も多いのが災害だものね
恵美さん
中には結構根性の入ってる人もいてねえ。強制的に退場というかなんというか、ばあちゃんがね
パワフルなおばあ様の鉄拳制裁ですな……
恵美さん
なんというか、あの領域にはまだまだ到達できないというかね
その話をちょっと聞きたいです
恵美さん
ばあちゃんの?
うん
時には強制執行
恵美さんのおばあさまは恵美さんよりも高い霊能力をもった方でした。
いわゆる「野生のプロ」「地元の霊媒師」という枠の中にいた方になりますが、多くの霊的な事案や瑕疵などを解決してきた実力者です。
311の際にも自分たちの能力でしかできないことがある、と恵美さんと現地に向かい活動をしていました。
どんな感じに根性が入ってたのかからお願いします
恵美さん
説得がきかないというか、頑固というかね。亡くなってるんだからもう向こうに行きましょう、っていってもダメで、先に向こうに行ってるご家族が来てもだめで、私の説得程度じゃダメだったからね。ばあちゃんが一回話をしてもダメで、その日の夜は宿泊先に戻ったんだよ。それで、ばあちゃんもお風呂入って、いろんなものを落として、
マッサージとかもして、万全のコンディションを作ることに集中したのね。あの時は私もそのコンディションの作り方がなんでこんなに大事なの?って思う部分もあったんだけども、実際にばあちゃんのやり方を見て考え直すきっかけにもなったのよ
マッサージとかもして、万全のコンディションを作ることに集中したのね。あの時は私もそのコンディションの作り方がなんでこんなに大事なの?って思う部分もあったんだけども、実際にばあちゃんのやり方を見て考え直すきっかけにもなったのよ
いい状態だとフルパワーになるからじゃなくて?
恵美さん
だってばあちゃんなんか24時間フルパワーでやってると思ってたからね。私から見てそういう人がコンディションを整えて対峙するってすごく気にならない?
渾身の力でいくって宣言みたいなものだしね。確かに気になる
恵美さん
で、朝起きてばあちゃんもしっかりと準備して、その根性の入った人の所に向かったのね。一応、その現地のお坊さんというか、お坊さんで見える人というか、こっち側の人というか
うん
恵美さん
で、一回ばあちゃんもその人を説得したんだけど頑として変わらなくてね
頑固な人って霊的なものになっても頑固なんだね
恵美さん
むしろ悪化することのほうが多い。だからこっちが強い状態で本人に納得させることが大事になってくるというか。個性は良くも悪くも強くなるよ
で、どうなったの?
恵美さん
ばあちゃんが“わがままいいってんじゃねえ”って思い切り殴りつけた
!!!!!!!
恵美さん
言っても聞かない、とどまっても害しかない。そういう場合には物理で片づけることも一つの方法であるということを学んだというか
物理的成仏……
恵美さん
現場で見るとこんなにも見事に決まるのかとおもったね。消滅させるんじゃなく、確実にわかるように相手を削るんだよ。だと、こちらの話をきくか、消滅するかの二択になる。あともう一つ
もう一つ?
恵美さん
うん。一つそういう実績を作ることで周りの同じような霊的な人にもいつ消されるかわからないという緊張を与えることと、自分で成仏するという選択肢を作ることになるからね。あの人が意地を張ったからあの結果に……となるよりも、この際だから意地は張らずに成仏したほうがいいかなって考えにもなるし。納得してできるだけ心地よく成仏したくない?
成仏したことがないからあれだけども、できるだけ心地よい眠りにつきたいという感じなら……
恵美さん
うん。それで周りに対するものもあって、強制執行になったというか
それでどうなったの?
恵美さん
うん。先にいかれていたご家族がお迎えに来てちゃんと上って行かれたよ。長期間その場にいたことはあったけども、それも含めて引きはがしてしまったというか
周りの人はどうなったの?
恵美さん
翌日から自分から上に行きたいという方が増えてきたので、地元の僧侶の方や霊能者の方と協力してあげて行ったよ。基本的にそういうところって、廃村みたいな感じで人が来ないから、縋れるものがないのも大きいよね。人の手が届きにくいところでなくなってしまった人とかはまだたぶん、残ってる方もいると思う。10年たったといってもそこまで復興してるわけでもないからね。まだまだ当時と大差ないところも多いからね。そういうところにも目が行くようになってくれたらいいんだけども、そういうところにいる人をどうにかできる人っていうのは私よりもずっと強い人になってくるね
10年となると本当に、いろんな年季が入ってくるよね
恵美さん
まだまだ解決しないことも多いけども、ここまで長いと急いでもどうにもならないから風化していくのを見守るのもありなのかもしれないって考えてる。どんな形になってもその土地に残り、その土地とともに朽ちていきたいんじゃないかなって考え始めててね。いずれ地に還り天に向かうならそれでもいいんじゃないかなって
復興したならしたでおそらく満足して自分で天に上るきもするよね
恵美さん
うん。私もそれを考えてる。自然に還るのを待ちながらでもいいだろうし、自分の目で結末を見届けないとだめだって人が多いからね。私も見かけても軽く挨拶して移動してるよ
まだまだ終わってないものね
恵美さん
うん
風化には時間が必要
望んで地縛霊として存在し、恨みなどではなく結末を迎えたい。自分で見つめたいという場合には時間が解決してくれること多くなります。
一般的な風化と表現になりますが、この風化がどれくらいの時間になるのかは、はっきりはしていません。
ですが、恨みではなく思いで残っている場合には軽く手を合わせるだけでもそこにいる人には励みや力になります。
風化させるには不要と考えることもできますが、納得して上に行くという部分を考えれば手を合わせたり思いを馳せることは決して無駄にはならないといえます。
風化待ちだと結構時間がかかるのかな
恵美さん
自然に任せるならそうなるけども、ある程度の時間と自分の中で納得出来たら一気に風化も進むよ。その時に上に行くことにもなるし、依り代になっていたものは一緒に崩れてしまうけども。崩れたものは一気に時間がたってしまうというかね。ほとんどが自然のものだから問題はないとは思うけども。この辺りは私もそんなに詳しくないからこういう説明になってしまうけども
私は見えないし聞こえないからあれなんだけども、山とか歩いていてすごく不自然なくらいに風化してる石とか樹とか時々見るというか
恵美さん
何らかの霊的なものがついてたのかもしれないよね。元が人じゃなくとも依り代があれば長期間留まることもできるし。大樹とかはそれ自体が依り代になって願いとかを吸いながら生きていて、樹としての寿命は尽きているんだけどもそれ以外のものでその土地を守ってるとかも珍しいくはないんだよ。樹齢何百年とかはそういうものである可能性も大きいし
たしかに単純に考えて何百年も生きてるって不思議だよね
恵美さん
御神木とかはその土地に関する人を守っていることがあるんだよね。有名なのだとずっと無事で来た横浜の大イチョウが台風で倒壊したんだけどもね。それはある女の子を守って代わりに災厄を吸って御神木の役割を果たしたから役目を終えて倒壊してしまったとかは良く聞いたね
だと、今無事な御神木や霊木って言われる存在もいつかそうなる可能性もあるってことだよね
恵美さん
そのために長く生きて霊力や妖力をつけてるという考え方もあるけどもね。私らは純粋にその大きさやみずみずしさ、そこにあることに感動したり感謝したりでいいと思うよ。そういう畏怖や尊敬の気持ちというものが御神木とかにはすごく栄養になるから
たしかに、地元の御神木のところを通るときにすごいなあって思っちゃうものね。定期的になんでだか見に行きたくなるし
恵美さん
個人個人でパワースポットって実際には違うんだよ。有名なパワースポットでも合わない人っているから。そういう時は無理にとどまらずに違うところに行くのでいいんだよね。合わないものは合わない。アレルギーみたいなもんだよ
妙に落ち着く場所とかもあるよね
恵美さん
うん。そういうところで過ごすことでいろんなものをそぎ落としたり、振り落としたりもできるんだよね。パワースポット系はどうしても祭神がいるところが多くて家とかの関係でその祭神と合わないとかも結構あるんだよね。パワースポットで具合悪くなってしまって、とかも檀家さんとたまに話になるよ
どう答えてるの?
恵美さん
パワースポットといっても家の関係や先祖の関係で合わないことも珍しくないので、気にしないでください。って。パワースポットだって無理やりにエネルギーを吸われ続けたらいずれ枯れるし、風化しちゃうからね。どこかで何かを生贄にしてエネルギーを補給する必要も出てくるかもしれない。それが何を求めるのかは私にはわからないけども。ふと見つけた空間とかで癒しや安心を感じて、またそこに行きたいなあと感じればそれも立派にパワースポットだよ
パワースポットも無尽蔵じゃないってことなのね
恵美さん
人が多く来るところは穢れや澱みもたまりやすいから定期的に閉鎖して手入れや浄化してるでしょ?それができないところとかが問題だよね。澱みとかがたまりっぱなしになっちゃうから
なんにでも風化ってあるんだねえ
恵美さん
うん。いい風化も多いから、そういう部分を昔から記録したり愛してきたのが日本人だと思うよ
パワースポットも枯れる
恵美さん
かれることもあるねえ。そういうところにはあまり行かないほうがいいかな。吸われちゃうから
その辺も今度詳しく聞かせてほしいです
恵美さん
了解ですよ~
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