困った心霊事案その２

むしろそのような話ばっかりというのもあるかもしれない

地方の方に出張で伺ったんだけども、入る前から入り口が見えないくらいに色んなものは渦巻いてるんだよね。そういう飾りとかオーナメントなのかなってくらいに。で、そこしか入り口がなくて裏口は外の喫煙所みたいな階段だけだったからそっから入るんだけども一歩上がるたびにぬちゃって感じが足というか靴に来るのよ

ゲロ踏んだような

ゲロの方がまだましだねえ。靴すてる羽目になったし。で、営業時間前に中を見せてもらったら本当に色んなものがいっぱい、いすぎておもわずどれが依頼案件ですか？っていったらオーナーさんが“そんなにひどいですか？”ってなったので具体的な特徴あげていったら頭抱えてたね

あり寄りのありすぎる話か

一晩で一千万の人がいるんだけども、それはとんでもない金額なんだよね。で、その人にも“こんな所に、低賃金でくる坊主の気持ちがわからない”って言われたので“高いか安いかはまだ出せませんよ。今日いただく分はここに顔を見せに来た分です。こちらも場合によっては命がけですのでそれなりに、なる時もございます”って伝えたらひきつってたねえ

まあ、本業も時価みたいな所はあるけども先輩の場合はそういった仕事も多いから、それこそ時価だし

私だったら原状回復してやるわ

おれも元の状態をより酷くしてお返しするねえそれだと。で、たかが2万程度は客じゃないとか最低4万のシャンパン入れない女に価値はないとか言ってて整形代の回収って過酷なんだなあとか思ったわけよ。酷いのはその人もだけどもまあ、そういう人がトップだと大体似たり寄ったりの人間性の人が集まるね。他のお店に行ってから売れて一千万プレーヤーになった人とかもいるお店で。一晩で一千万は一人では無いにしても半分で五百万をどう準備するのかだよね。俺だったら車買って肉食べちゃうね

私もなんか食べてから庭師さん呼ぶ

そういうお金に女の子の気持ちもだけども涙も入ってて、それでも自己満足や承認欲求もあるだろうけども、その人が好きだからお金を使ってどうにか目立たせて、やってるわけじゃない。そういった人がいる限り一回きれいにしたところで繰り返しますけどもいいですか？っていって契約書読んでもらって、後日除霊行くことにしたのよ。帰りに食ったそばは美味かった

Ｋちゃんはおいしいお店をちゃんと抑えてくれるのだ

ありがたい。んで、行く日をまだ決めてなくて親父に大まかな、進行表と計画を話してたら携帯に連絡が来たのよその一千万から

あだ名は千万でいいかな

それで“男と飲むよりはきれいなお姉ちゃんと飲みたいのでご遠慮仕りたく候”て言って一回切ったのよ。俺も打ち合わせの最中だったし。で、親父からも概ねいいんじゃないかってところでまた電話が鳴ったから仕方なく出たんだけども

ぺい

俺も思わず“あんた誰から番号聞いた？勝手に聞いて勝手なこと言ってんじゃねえよ。契約者以外との関係を持つきはねえんだよ”ていったら鳴き声で“助けてくれ”っていうから”今超忙しいから無理。ただ働きとかできない貧乏坊主でーーーーす“でまた切ったんだわ

Ｋちゃん、これが先輩だ。こういう生き物なんだ

それで俺も他にもね　法事とかあるわけだから、そっちの方をメインにというか、大事にしてるのよ。年がら年中次の坊さんは寺を空けてるとか言われたくもないし

で面倒だから電源切ってたのよ。そんで夜中に電源つけたらすげー着歴と色んなものがあって、まず知らないものは全部消してから、契約者のオーナーからのものがあったから其れには対応したのね。こっちも勝手に連絡先を教えられたら困るしプライベートや本業もあるという部分を伝えて

そうしたら明日にでも店に来てほしいといわれて。明日は無理ですって言って三日後に行ったんだけども、その時点でオーナーがすでに死相が出てるレベルにやばい顔になってた。どうしたんですか？とかは無いというか何があったかは俺にはすぐにわかるから”大変ですね“っていったら”はい……“って

あらやだ

それで本件をサクっと済ませましょうっていったら千万君がやってきて、なんですぐに　来ないんだとか電話出ろとかすごいうるさいのよ。そしたらオーナーが“誰のせいでこうなったと思うんだ”って言い始めて。まあ、何があったかというと俺は仮にも僧侶なわけで言い方はあれだけども俺が持ってるものもそれなりにまあ、あれなものな、わけですよ。で常、日頃は寺という自宅にいるので完全ガードされてるし、多少何かが擦り減っても回復手段はある。で、そんな俺に対してまあいらん事を言ってしまったので、ぎりぎりの所で守っていた千万君の大事なガードマンが一斉に離れてしまった。俺は仮にも僧侶なのでまだ何とかなるという部分がある。やることはやってるしキャバとか風俗とかも仕事で行く以外の用はないからね。それでまあ、ノーガードでいろんな所に行ったり、金使ってくれて当たり前みたいにしたら、色んなものがくっつくよね

俺が見ただけでもメンヘラみたいな生霊が6人憑いてたからオーナーに言ったらまた頭抱えてた。それが太客の外見にすごく似てるらしくて。まあ、どうやって作った金なのかは聞かないし、作り方も俺には見えちゃうから“あきらめるか誰かと結婚したらいいんじゃないですか？”っていったのよ。6人全く見知らぬわけでもなくその中の誰かが選ばれるなら業火の嫉妬はあっても納得もする。でも千万君は売春するような女は嫌だっていうんだよ。そのお金でいい暮らしをして整形のメンテナンスもできてるのにね。それは、よくない考えだと思うんだよね。しかも使う金額が少ないと冷たくするから女の子も出張とかで、一気にでかい額を稼ぎに都心までいってくる。それを使う。また都心に行くなんだよね。どっちも長生きできないですねって炭酸水もらって言ったら千万君泣いてたわ。太く短い人生もありだよ？っていったら地元の彼女と結婚したいって。いやいや無理だろうし、それで結婚したら彼女さんの子供に呪いが行くよっても伝えた。まあ、彼女も千万君のやってること理解したら、いなくなるのもあったけども、そこまでは言わないでおいたわ。男の嗚咽というがマジ泣きは見たくないし

本当にひどい

それで、いろんな意味で公平なジャッジを出せる人間除霊機に電話してみたのね、その場から。で繋がった瞬間に“僕には無理かなあ、無理じゃないけども僕が嫌なんだよねえ、あはははは～”って言われてこれはダメ案件ですよ、と伝えた。まあ、除霊だけはするので、その最中にいたら少しはましになりますけども、同じことは繰り返すだけですよ。改めるか彼をよそにやるかですねって

定休日に合わせて店中に白樺をガンガンに炊いてバルサンかと思うほどにまずやった。その時点で臭みはだいぶ消えたんだけども、トイレとかがまずダメだったからその一部にお札はってみたりもした。あとレジ裏にも。女性の出入りする場所にお札はっていってそれだけでも半日かかったからね。で、休憩しながらあれこれ話を聞いてたら千万君がきて”金は出すからなんとかしてくれ“っていうのね。でもそのお金っていうのは間接的にも女の子から俺が受け取る形なわけだからそれはちょっとって断ったのよ。そんな瘴気の塊みたいな現金もらってもね。それに千万君が提示した額では無理だった。へたしたら俺だって二週間くらい寝込みそうな案件だったからね。もっと格の高い坊さんに頼めって

格の高い坊さんならなんとかできるのか？ていわれたから其れはそのひとがＹＥＳというかＮＯというかで変わるし、ＹＥＳなら金額は俺以上にもかかることも説明した。高名な人って言うのはそういうものだからね。で、外装的なものが終わったから今度はちゃんと法衣に着替えて読経の方をやったのよ。で、俺らの数珠ってちょっと一般の数珠と違うんだけどもね。俺はその中でも細工をいくつかしてて簡単に切れたりしないようにしてるんだけども糸が緩む感触があったのよ。珠を落としていくの嫌だから数珠をしまって続けて。で、体感できる程度には空気がよくなったんだけども千万君の生き量は苦しそうにはしてたけどもしっかりと憑いてた。まあ、大好きな男からはそう簡単にはなれないよね。

どうなったんだろうね？俺は契約のことしかしないし、契約が終わったらいっさいの連絡手段を一度、双方一緒に消すことにしてるから。お店の除霊と空気をなんとかしたいという部分に関してはオーナーも納得してくれた成果は出たよ

うんむ

今だとＳＮＳとかでこれだけ稼いだからホストに会いに行くとかやってる子もたくさんいるよね。それは多分ホストが好きというよりもこんなに夢中になれる自分が好きなのであって、そうやって稼ぐ方法も一種の自傷行為なんだと思うけども。それもまたその子の人生だから俺がどうにかするものでもないし、俺にどうにかできるものでもない。死んでるってのは粉砕したり力業がまだ使えるんだ。生きてる者っていうのは無理やりはがせば本体にも傷がつく。千万君に本体に傷がついたらそこまでの金額を稼げなくなるよって言ったらそれは困る！！っていうから俺には何もできないよね

標準的なホストだと思うよ。ただ本人の根っこも屑なだけで。根っこがそうじゃないならまだ何とかもできるけども、そうじゃないからね

だよねえ。どこもそういうハードな子がいて成り立つからね。いまだとそういうホストやキャバでなくても色んな方法でお金を巻き上げることに長けてる子はいるからね

オーナーからは店の流れがよくなったこと、千万くんが他のグループに引き抜かれたこと、なぜかネタで出した軽食が結構うけがよかったとかいってたくらいかな。たしかに出してもらったおでんと、かきあげは美味かった。オーナーは多分料理男子だろ今で言う所の

ばーちゃんのおでん食べたくなった

コンビニおでん一年中あってもいいよね

俺の中で一番きついのはホストクラブ。次が女性風俗、一般的なキャバクラと風俗とかは、まだ酷いけどもまあねって感じ。ホストにお金使うためにそのお金を作る工程が体売ってるのは、まあよくはないけどもその内容だよね。そういうものが紙幣に触ると強すぎる時はこっちまで伝わってくるんだよ。逆にね、1000円でも頑張って貯めてくれて“猫を成仏させてあげてほしい”って来たこの時は1000円以上の価値を俺は感じた。猫がね、飼い主の子が心配で成仏できなくて部屋にいるのがわかるって本人も言うんだよ。いてほしいけどもそれは猫のためじゃないって。だから俺はそれはその額で受けた。俺がそれ以上の価値を感じたんだ。仮に俺にペナルティが落ちたとしても俺は後悔してない。そのほうがいい

そういう子ってたまにいるんだよね。私も飼ってた犬のために、お坊さんにお経をお願いします。お布施は持ってきましたって袋をもらった時にその週末に正装してお伺いしたよ。お家の人もびっくりしてたけども、こういうわけでお布施もいただいたのでって

そういう、なけなしのお金をたくさん集めた場合、金額が少ないとかないんだよなあ。ああいう所の金額って人を狂わせるね

女の子だと体へのダメージがあるから、目視しした時に心が痛くなるんだよね。そういう生活をしててある日なんでか出家して尼さんになるとかもあるけど。そこまでではないけれどもあの有名な瀬戸内さんだって若い頃は今でいう所の相当な悪女だったからねえ

そんな感じだねえ。急に何もかも嫌になってこの世も嫌になってでも死ぬのも面倒で、どうしようって尼さんになったとかね。難しい問題にはなってくるけども、そういう体を売る子がいなくなるといいなとは思うけどもそれは無理だよね。俺も通り道で見たりするし

共通の記号みたいにみんな同じような服なんだよね。同じリュックで。もしかしたらだけど、そうやってみんなが同じになって辛さを分散してるのかもしれない

本人が幸せならいいけども親が泣くとかそういうね。親というか本人が泣いてんだよな。でもそれに本人が気づかない。だからその行き場のない気持ちが一番好きな男に取り憑くことで形になる。大体は１～３人くらいなんだけども６はねえな。少数ならサシで飲んだり店外でちょっとデートしたりすると消えたりもするんだけどもあれは無理だったわ

普段は普通の僧侶ですよ。基本的に檀家さんが一番です。檀家さんからの相談やご依頼のほかに、という形ですから

いまちょっと坊さんだった