執筆者:ゆい
現在台湾で修行中の”見える人”千鶴さんですが、千鶴さんの師匠にあたる先生もとても面白い方です。
今回は千鶴さんの先生について、お話をお伺いしました。
よろしくお願いします
千鶴さん
よろしくおねがいします~。うちの先生の自慢話を聞いてもらえるということで(笑)
千鶴さんの先生はすごく気になっていたので渡りに船です(笑)いっぱい自慢してください
千鶴さん
先生が若い頃なので、どれくらい前なのかちょっと私にもわからないんですけども。先生が土地神様を退治したんですよ
土地神様って結構な強さじゃないですか?それを若い頃に?
千鶴さん
そうなんですよ。若い頃なのでおそらく霊媒師というか退魔師として仕事を始めたころかな?っては思うんですけども。確かに先生は元々の素質が凄いので、できるのかもしれないんですけども普通に考えると結構、素質があっても凄いことなんですよ
土地神様は恵子さんも退治ではなく招いている存在として扱っています。
土地神様は強力な力を持つことが多く、対価と報酬で共存することが多いという存在です。
その中で退治という部分になると、それは双方に大きなダメージを負うことになります。
千鶴さん
先生の場合は今も現役で、簡単な依頼とかは私に回してくることが多くなってきたんですよ。でもそれは先生は普段使う能力を抑えて先生でなければ対応できない依頼に向けてチャージしてるというか。実際に複雑な除霊とかは私にはできないものになってくるので……
千鶴さんから聞く話だと結構大変なお仕事もありますもんね
千鶴さん
そのあたりは先生が前面に出てますね
そういえば先生は日本の芸能人で誰かに似てるとかありますか?
千鶴さん
うーん……ボブっていうのもあるんですけども、しいて言うなら野際陽子さんとかですかねえ。若いころの写真とかすごい綺麗なんですよ。今はなんというか、綺麗なおばあちゃんというか……
なんとなく想像できますね
千鶴さん
日本大好きで日本語も話せますからね
それで、どんな土地神様だったんですか?
目次
土地神様との対面
土地神様は土着信仰と密接に絡まることが多く、他では忌まれるものであっても特定の地域では神様としてまつられることも多い存在です。
日本などでは長野のミジャグジ信仰などをとりあげれば、残酷なミジャグジ神は供物をささげることで信州を守るとされています。
手長足長なども西日本では悪い存在とされますが東日本の一部地域では神としてまつられています。
このように土着信仰というものは土地の文化や風俗と密接に関係していることが多いです。
土地神様にもいろんな種類が存在しますよね
千鶴さん
そうなんです。先生が退治したというか……そうですね、便宜上退治にしますが、その土地神様は元々は土着信仰で成り立ってたんですが、祠やお社も荒れてしまって信仰心がきえてしまったことが暴れる原因だったらしく
土地神様は信仰と捧げものが大事ってほかの方からもよく聞きますね
千鶴さん
です。なので、私もこっちにきてからまず最初に教わったのが家にすむ土地神様への挨拶と供物作り方でしたからね
なるほど……礼儀を欠いてはいけない相手ではありますよね
千鶴さん
それで、暴れまわってるので先生のところに話が行き、先生もまず様子を見に行ったんですって。どんな存在なのかを理解しないと対策を練ることもできないので。過去にどのような供物がささげられていたのか、神様の要求は何なのか、共存できる道には戻せないのか、をまず先生は考えたんです。これはすごく大事で、無駄に退治するよりも共存できるならそのほうが双方に良いんですよ
神様って名のつくものはどんな存在でもそれなりに強いって思えって聞きますからね
千鶴さん
あってます。先生もそれをよく仰ってますし。若いころからその考えだったので、先生は下調べをして神様の希望や今までどのように扱われていたのかを調べたんですよ
基本から攻めていく感じですよね
千鶴さん
ですね。それで、二百年まえくらいが最後の人を供物とした状態で、それ以降は簡単な供物で祀られていて何の問題もなく、特定のお家で管理してたんですよ
はい
千鶴さん
それで、そのお家で“神様からなんだかわからないメッセージが来ているが、自分たちではわからない”ということで先生が神様と対面することになったんですよ
私だったら耐えられない何かがありますね。神様と対面
千鶴さん
私でも耐えれませんよ。で、先生は神様と対面してその声を聴けるかを試したんですよ。で、神様は先生が中立なのを理解して、先生に希望を伝えてきたらしく
希望がわかれば対処もまだできる可能性もありますもんね
千鶴さん
です。で、神様の希望は“前のお嫁さんが成仏してしまったので、新しいお嫁さんが欲しい”だったんですよ
二百年くらいお嫁さんが一緒にいた感じですか!?
千鶴さん
そうです。嫁さんはずっと神様に寄り添ってくれていて、でもとどめるには限度があり先に召されてしまったので。本当に大往生なんですよ。元々が穏やかな気質の神様で、お嫁さんも神様にすごく大事にされてたらしくそのおうちの文献にも何度も記述が出てくるんですよ。“ここまで大事にしてもらえているので何も悲しまないでほしい”“毎日二人で過ごしているので心配しないでほしい”“この家の繁栄と長寿を願っているので安心してほしい”ってのがたくさんあったらしく……神様がお嫁さんを大事にして愛していたのは事実だったんですよ。なので神様は寂しくて人恋しくて、お嫁さんを準備してほしい、っていうのが希望だったんです
でも、神様に嫁ぐということは……
千鶴さん
です。人間ではなくなりますし、人の器はなくなってしまいます。魂になって神様と長い時間を過ごし、家と一族、その土地を守る気持ちがないと……現代でそれができる人なんていないと思います……
神様に魅入られて短命になったとかいう話もよく聞きますからね……
千鶴さん
なので、先生も時代にそぐわない願いになったから他ではどうだ?って提案をしたんですが神様はずっとそばにお嫁さんがいたのに慣れてしまって他は嫌だ、という話になってしまったらしく
よほど、いいお嫁さんだったんでしょうね
千鶴さん
先生が言うに残っていたのは絵だったらしいんですが、“とてもかわいらしくこんな子が覚悟を決めて神籍に入ったのか”と。当時の台湾ではそのような思想もあったので、覚悟をもって入るのもですが神様に選ばれたのだから、と正式な儀式を経て婚儀を執り行ったそうです
だと、神様もやっぱりお嫁さんが欲しいってなってしまいますよね
千鶴さん
それでやっぱり平行線になってしまい、この家から神様を分離させることにしたんです
分離させる?
千鶴さん
そうです。お嫁さんは二百年くらい前ですが神様自体はそれよりも前からその家にいたので、家から分離することで神様の弱体化を狙ったらしく
人がいれば少なからずそこからエネルギーが取れるっては言いますものね
千鶴さん
相当抵抗されたみたいですが、先生の渾身の力で無理やり引きはがして籠の中に一先ず移動させたらしく
引きはがしたんですね
千鶴さん
で、神様の大本は白蛇だったらしくて。それで籠の中に入れて森に放してきたらしく
たしかに森ならほかの神様とかもいる確率も多いから、共存するにしろなんにしてもいい気はしますね
千鶴さん
がっつりと傷めつけたから消えるだろうって先生は思ったらしく
そのクラスの神様をがっつりと傷めつけるってすごいことでは……
千鶴さん
昔からワイルドな先生だったんだと思います
それで神様はどうなったんですか?
千鶴さん
結果としては消えませんでした。ただ、依頼としては依頼は完了した、ということにはなります
神様との対話
では、その神様は……
千鶴さん
腐っても何百年も祀られててなおかつ供物だった伴侶が存在できる限度以上の時間を過ごすくらいには徳が高く、力も強い神様だったんですよ。時間をかけて傷を回復させて、ゆっくりと森の中にある様々なものを吸収して全盛の神様の力に近づけてきたらしく
まさか、先生に仕返しに
千鶴さん
逆です。基本的にはさみしがり屋の神様なのでふらりときては先生の仕事を覗いたり、会話を楽しんでいったりしたらしく
神様は寂しがりな存在ってのは結構聞きますね
千鶴さん
神様があれこれと話しかけてくるのは適当に聞いてたらしいです。先生は先生でその当時から忙しかったのと、夜は路面で占いをして透視や霊視の能力を鍛えながら生活費を作ってたらしいので
そちら(台湾)は占いや霊的な仕事も割とメジャーですよね
千鶴さん
です。腕のいい占い師ってなると行列もできますし、気軽に占いや霊視を受けて楽しめる環境がありますね。私はさすがに時期的に路面とかはできないですけども、対面やZOOMを使っての鑑定は少しずつやらせてもらってます
先生の占いは人気になりそうですね
千鶴さん
そうなんです。で、店じまいをしようとすると決まって最後に来るのがその神様で
えらく気に入られてますね
千鶴さん
ご丁寧に人の姿を作って訪れてくるのと、ちゃんと代金も支払うんですって
筋を通してますね
千鶴さん
金も払わずに、気を使わせない賢い神様ですね。毎晩ではないですけども、頻繁に来る上に、神様も人の形を作る際にはある程度きれいな姿らしく。本人が言うには“前の奥さんが好きな姿なんだけれどもね”ってすごく丁寧だったんですよ。先生と話をしながら今日はどんなことがあったの?とか先生のことを聞くのが好きだったらしく
先生の好みは確か松潤のはずでは
千鶴さん
松潤ですね。松潤が出るものは大体チェックしてます
まあ、当時は松潤はまだ生まれてないのかな……
千鶴さん
だと思います。で、神様があんまり来るのでうんざりして路面を閉めてしまって
神様が通い詰めるって別の意味で話題になりそうですけどもね
千鶴さん
見える人やわかる人からすればそうかもしれませんが、普通のイケメンが定期的に通ってるようにしか見えないですからね。先生は純粋に占いをしていたので、今のこの家を購入して住むようになったんですよ。この家自体事故物件というか、今のこの状態で家の人たちの住む状態で買い手がなく、いい大きさでいい家なんですけども、格安だったので先生もすんなりと購入したらしく、家の人たちも自分たちが見える存在が住むことになったのであれこれ話しかけてくるようになったらしくて
その時にその家を買った時に家の人たちは歓迎ムードだったんですね
千鶴さん
先生は人当りも霊あたりもいいですからね。で、しばらくはのんびり過ごしてたんですが、神様はやっぱりこの家にも来るようになり、今度は家の人が応対するようになったんですよ。“ここの家主に合わせるわけにはいかない”って。家の人たちもそれなりに長いからそれなりに強いんです。集団でくれば神様だって簡単には先生に会ことはできないですからね。しばらくはそうやって先生はスルーしてたらしいんですが、やっぱりそれで家の人と揉めてしまって、家の人にダメージが出たらしく
やっぱり神様だから強いですね
千鶴さん
どうにかして話し相手になるお嫁さんを見つけてもらえないか?って先生に神様が頭を下げたらしく
とんでもないことになってますね
千鶴さん
Kさんはわかってますけども、神様があたまを下げるって相当なことですからね
神様の願い
元来、神様は人よりも上になる存在であり人に頭を下げるということはありません。
屈服させられた場合には可能性としてありますが、自分の意思で下げることがないのが神様の特徴の一つになります。
その存在が千鶴さんの先生に、しかも若年の女性に頭を下げるということは非常にまれというよりも本来はありえないといってもいいでしょう。
では、その神様の願いはどうなったのか?
神様の願い事はかなったんですか?
千鶴さん
叶ったといえば叶ったんですが、叶って無いと言えば叶って無いんです
非常に難しい表現ですね
千鶴さん
仕方がないので先生がセッティングして、神様と話をすることになったんですよ
はい
千鶴さん
神様が欲しいのはお嫁さんです。でも、この時代に神様に嫁ぐなんてことを了承する存在はいません。いいところ巫女や神職あたりまでですから。先生はそれを神様になんとか理解させたんですが……
が……
千鶴さん
神様は人恋しい。“お嫁さんがだめなら話し相手が欲しい”と。このままでは野良の神様になってしまって災害の元になってしまう事を先生も理解していたので最大の妥協案を出したんですよ
?
千鶴さん
“数百年は一緒にはいられない。自分が死ぬ時に一緒に消滅するか残るかを選べばいい。それでいいなら私がお前の伴侶になろう。あくまで伴侶だ。嫁ではない”と
ということは……
千鶴さん
です。先生が神様の結婚相手になったんです。でもあくまでそれは伴侶であり、お嫁さんではないという区分にしたんです。お嫁さんだと神様と一緒に生きることになりますけども、伴侶であれば先生の死後にはその関係は解除され、神様が自分でその後のことを考えることになります。先生と一緒にいわゆる成仏を選ぶこともできますし、また先生のように対話することのできる相手を探すこともできる。それまでの数十年の時間は寂しくはないけれども、その一瞬が終わるときにどうするのか?になりますね
じゃあ、いま、神様は
千鶴さん
それは後で説明させていただきますね。神様の願いは一時的に叶ったので、神様は今、家にいますよ。大まかな世話は先生がしているので私がそこまでどう、ということはないですね。ただ、私にはできない選択だなあって。ここに来た時にはもう神様はそんな風に存在していて、そんな共存の仕方もあるんだなあって
先生が若いころからだから結構な長いお付き合いですよね
千鶴さん
最近は少し見た目を松潤に寄せてますよ。見える時だと
神様、めっちゃ先生のこと大好きじゃないですか
千鶴さん
ですね。超愛しまくってると思いますよ。先生が風邪一つひかないのはがっつりとガードしてるのもありますし。先生も、その時から一切人間の男性との恋愛とかはしてないですからね。あまり多くは語らないですが、まあそれなりに神様とも色々とあったらしく。たまに名前で呼んでますよ
それは神様が完全に調伏されますね……先生と一緒になりそう
千鶴さん
だと思います。先生もたぶん最初からそのつもりだと思うんですよ。野良の神様とかは最後がひどくなるので。いまだったら先生もきっと割り切ると思うんですけども、若いころの先生は今よりも割り切ってないと思います。先生は“引き取る代わりにそこそこの恩恵は受けている”っては言いますけども。神様の方の愛情はたぶん全く減ってないと思いますよ
怖いなあ……
千鶴さん
ね。怖いでしょ?私がお世話になるときに先生が“私よりも若いのが来たからあっちでどうだ?”って言ったんですが、神様が超否定しましたからね。神様にとっては先生じゃなきゃダメなんですよ
ものすごい一方的な大恋愛って感じがする
千鶴さん
先生と一緒にテレビ見たりお茶飲んだりしてますからね。先生は相手したりあしらったりしてますが、邪険にはしてないですね。敬うところは敬っているので
熟年夫婦ですね
千鶴さん
先生が言うには“神様からすれば一瞬だからね”ってやつですが私には無理ですねえ。どこにでもついて行きますし、全部に関与できる存在ですよ。怖い以外の言葉が出てこないですよ
先生だからできる荒業ですよね、そう考えると
千鶴さん
です。結果として先生は霊媒師として神様を同行させたりもしているので。ただ、これが幸せなのかといわれると難しいですよね
神様も決断を迫られるとなれば、幸せとは言い切れないし、でも……何とも言えないですが優しい二人だなっては思います
千鶴さん
ですね。先生じゃなきゃこの結末にはならなかったと思います。神様はいまでも先生のことが本当に大好きなので少しふらついたりするとものすごく慌てますからね。先生は“そういう年齢なんだから”って言っても、神様の目には多分、出会った時のままの先生なのかもしれないっていうか。先生の魂を見てるとしたらそうなのかなって
何とも深い話でいま、頭をどう整理しようかと
結構ヘビィですよね(笑)私も慣れたつもりですけども、まだ慣れない時があります。神様ってやっぱり人でも霊でもないからものすごい怖い時があるんですよ。それが先生には全くない。力と器の差を感じますね
千鶴さんもその域に行きましょう(笑)
千鶴さん
それは勘弁してください、本当に(笑)
深い話をありがとうございました
千鶴さん
まだまだ自慢あるのでよろしくです(笑)