目次
悪霊というもの
心霊的なやばいもので話せる範囲のものだとありがたいのですが
恵子さん
そうねえ……どうにもならなかった話でもいい?
できるだけマイルドなものでお願いします
恵子さん
四代目まで霊障がおきていてそれを何とかしてほしいって相談を受けたことがあるのよ。四代目の人から
何で四代も続いてるんですか?
恵子さん
よくある話なんだけども霊的なものと取引をしてその取引を反故にしたのよね。それで四代目までしっかりと呪いを受けてる。厄介なのは一家断絶できるくらいの強さがあるのに一家を生き永らえさせて苦しめているという部分よね。とても狡猾で陰湿な部分が目立つけども同じくらいに実直な部分もある。なんで裏切ったというか反故にしたのかしらね……本来無理なことをやってもらったならその対価はとられるのが常でしょうに
どのような約束をしたんですかそこのお家は
恵子さん
これもよくある話だけども、四代前の方の子供さんが生まれるのも困難かもしれないって状態で、どうにか助けてほしいってのをその当時に海外から渡ってきた本に書いてあった呪法をやったのよね。でも呪法ででてきたのは本に書かれた悪魔ではなかった。その条件で日本にいる悪霊のほうが呼び出されたのよね
その本がどんなものを呼び出せるのかがわかりませんがなんとなく目的は達成できてる気がしますね
恵子さん
まあ、願い事は変わらないからね。それで奥さんと子供が無事に生まれてくることを願ったのよ。で、その悪霊は生まれてくる子供を自分によこせといったの。子供はまた作ればいい。女は無事ならば子供は俺によこせという分かりやすいし今でもよくある条件だと思うわ
ですね。私も恵子さんのお手伝いさせてもらってて聞いた覚えがあるというか
恵子さん
まあ、いざそうなったらひとまずはYESとはいうけども生まれてみれば子供は可愛いから嫌なのはわかるのよね。そうやって悲しい結果になった人は数えきれないほどあるのよ。それと同じようにその人も本来は同じような運命を背負うはずだったんだけども、たまたま通りかかった霊能者が悪霊を遠ざけてくれたのよ。そこで終わればよかったんだけどもその当時は食べるものもなくて、木の根とかを齧ったりもしてたのよ。その家は人里からは離れていた。身重の妻に少しでも栄養のあるものを食べさせたい。そうなると人って残酷になれるのよね
………………………
恵子さん
その後本当に食したかどうかまではわからないわ。もしかしたらそこで踏みとどまった可能性もあるし。霊能者が身に着けていたものを金銭に変えたほうが可能性として高いだろうし。ただ、霊能者はその家から消息を絶った
で、でも……霊能者さんが悪霊は何とかしてくれたんですよね?
恵子さん
悪霊の部類にもよるけども長期戦なんて珍しくないのよ。もしかしたら一時的に抑え込んで調伏して使い魔みたいなものにしようと思っていた可能性もある。私も10年以上対応してる案件もあるわよ。そうやって長期間やりとりをすることでこっちのことを少し理解してくれるし、私が死ぬときには仕方ないって付き合ってくれるって言ってるわね。そういうこともあるのよ。でも、その霊能者を消してしまえばそれもかなわない。時代がわるい、世相が悪いというのはわかる。でもねえ……すべてが善性で出来てるわけじゃないのよ
ですねえ……
恵子さん
それでその霊能者の無念や苦しみを悪霊が吸い込んでしまったのよ。いってしまえば悪霊や人じゃないものにとっての霊能者なんてご馳走みたいなものだからね。昔の妖怪がお坊さんの肉を求めて襲いに来るとかは納得できると思うのよ
お坊さんもわかりやすい霊能者ですよね
恵子さん
霊的な能力がなくても当時の僧侶の多くが霊的な修行は積んでるからね。信仰心というものを持った存在は西洋でも化け物に好まれたもの
うーん……約束を反故にして霊能者さんが……うーん……
恵子さん
飢餓って本当にいろんな後遺症を残してしまうのよね。同じくらいに家族への愛情もある。そのすべてを否定できるかとなると何とも言えないのよね
それで四代にわたって呪われてるんですか?
恵子さん
そうね。悪霊は霊能者を取り込んだことで力を増幅させた。それによって霊能者から受けたダメージは回復できたのよ
なんというか、私が霊能者なら一発は殴りたいですね
恵子さん
それなのよ。それも入ってしまったのよね
それは最悪というかどうしようもないですが分かってしまうというか
恵子さん
悪霊の中身もねえ、没落した貴族だった人間だったらしくてね。もともと悪魔というか人型で人の言葉を解する悪魔を呼び出すものだったみたいだからね。原本がわからなんだけどもメイコさんに聞いたら多分そういうものだって言ってたわね
メイコさんがいうなら間違いないような気がします
恵子さん
そんなわけで二重の恨みを買ってしまったのよね
知ってます自己中ってやつです
恵子さん
前提条件としては、まあこんな感じではあるのよ
なんとなくわかりました
恵子さん
この元凶になった人にまず呪いの影響で右足が動かなくなったのね。それはまあきっとあの悪霊なんだろうって本人は思ったことが書き残されてるの。それで今度はうまれてきた娘さんの顔にあざができていたのよ。しかも人の手形に見える。成長するにしたがってあざはだんだん広がっていって娘さんは気を病んでしまって早世してしまったらしいのよね。その後も子供さんは生まれたんだけども女の子は必ず同じあざができていて初代の元凶もこれはもしやってなったのよね。当時はとにかく子供は多かったし
ですよねえ……そのあとに大きな戦争はやがてやってきますけどもその前も激動の流れですし
恵子さん
そうなのよ。どうやっても子供はいないことには子孫が絶えてしまうから産めよ増やせもあったし。それで何人目かの子供の時に奥さんが”もう生みたくない。今までと違う”って言ったらしいんだけどもそれでも妊娠したからには生むしかない時代でもあった。それで生まれてきた子供はいわゆる単眼症だったのよね
きびしいですね……日本だと無脳症はあっても単眼ってかなり珍しいのでは……
恵子さん
今なら医学でわかるけれども当時は生まれてくるまでどんな子供かわからない。奥さんはその子を産んだ際に亡くなってしまった。生まれてきた子供は辻からすれば鬼の子呼ばれる存在。産婆さんがそっと処理しようとしたんだけどもその生まれたての子供は”何があっても赦さない。この子供はもらっていく”っていって子供さんはいなくなったらしいの。まあ。そこの家からすれれば単眼の子供がないなくなったのは願ったりかなったりでしょうね。それも書かれていたみたいだし
ここまででもうおなかいっぱいです
恵子さん
そうなるわよねえ。でもねえ。なんというか……この家は反映して没落するを繰りかえすのよ。すべてがうまくいっているとなった瞬間に没落していく。これを今日まで繰り返してるのよ。そして生まれてくる子供は基本的に4~5人いる。その中には必ず女の子がいてその女の子はあざがある。早世するが子供を産んだ場合には男女関係なく何らかの障害や分かりやすい欠損をもって生まれてくる。これがもう設定されてるかのようになっていて子供を産まないという選択をしたり、独身で過ごそうとする子供さんもでてきたのよね。それでも直系になると必ず子供が生まれるようになっている。それも大人数の。結婚や就職、出兵とかで国外に行っても生きてる方が辛い状態になって帰国するのよ。簡単に死ぬことは許さないって言わんばかりにね
うわあ……いやまあなんというか私もちょっとしたかけてるからだがありますけども、そういうのはないですし……
恵子さん
本当にねえ……
初代の人はどうなったんですか?
恵子さん
結核で苦しんだんだけども長生きしたのよ
結核って当時短命じゃなかったですか?
恵子さん
ええ
……とてもよくわかりました
恵子さん
わかりやすい呪いではあるのよ。苦しんでも長生きできる。いっそ楽に死にたいわよね。それをさせないのよ
すごく嫌ですね
恵子さん
子孫に対してもそれは全く容赦がないわね。歴代みなさん直系にしても分家にしても霊能者や神職、僧侶に相談しても何も解決しない。呪いは全く薄まることがない
もうこの時点で怖いですね
恵子さん
初代も日記をつけていたんだけども、ものかげから一つ目の何かがじっとみてくる。病に伏しても一つ目が嬉しそうに”安心しろ、長寿をくれてやる”と枕元で笑うとか書かれてるのよ。わたしだったら耐えられないわね
それで耐えれる人っているんですか?
恵子さん
子供さんで跡継ぎではない娘さんが出家して尼僧になったけども、その娘さんが書いた手紙には”ここにいると安らげるけれども買い物で外に出ることがとても怖い。仏さまにすがることしかできない”って書いてあったみたいね。さすがに俗世をすてて御仏にすべてを捧げてる場合には呪いも届かなくなるみたいね。安全だけども人生がもう何もなくなり、神仏のためにいきるしかない。それが果たして幸せなのかとなればね……尼僧になれば生きることができるが人生はもう何も残らない。呪いは結局取れないのよ
きついですね……
恵子さん
これをどうにかできるかってなれば私だって無理ですとしか言えないのよね。私に来るまでにも何人かやってみてダメだったからなのであって。それで私のところにもダメもとで相談に来てくれたのはあるからね……まあ、見るだけ見に行く程度でいいならで請け負ったのよ
恵子さん単独でいかれたんですが?
恵子さん
誰にも頼めないからかね。もし何かあっても私一人で食い止めらえるならそれでいいから
もう嫌な話過ぎますねえ
恵子さん
私に話を持ってきた霊能者にも話を聞いたけども、どうにもできないし救おうとか考えることをやめたって言ってたわね。まあ、どっちにしても相談料は出すって言われたからねえ
相談でも今回は受け取ったんですか?
恵子さん
普段だったら受け取らないわね。ただ、今回は私に対する危険も高いと持ったのはあるわね
恵子さんは等価でしか、お仕事をしないですもんね
恵子さん
過不足なくが心情だもの。今回は対面だけでもちょっと危険かなって思った部分があるからね
すでに怖いを通り過ぎた何かを感じます
恵子さん
それで対面したんだけども、しっかりと呪いが残ってる状態だったわ
どんな感じでしたか?
恵子さん
直系ではなくて二代目の方の娘さんのほうの血筋なんだけども片目はほとんど見えないって言ってたわね。先天的なものでどうにもならないのと、家系的に欠損や奇形が出やすいって悩んでたわ。今回どうにかしたいと思ったのは結婚してることと子供ができたけども超音波でもう奇形が確認できると言われてどうにかしたいと思ったらしいの
せめて直系から離れた人には優しくしてほしい気はします
恵子さん
そんなことはしないでしょうね。それが悪霊ってものだもの。苦しむ人数が多いほどに力を維持できる。しかも今回は悪霊には非はない。裏切った初代を裏目になってしまうけれどもそれもどうにもできないものだからね
難しい問題ですよね
恵子さん
私はその時にはまだ一つ目の鬼は見れなかったけども、僧侶の人から見てもらった時には”あなたの呪いは地獄から生まれています。どうやっても私には無理です”って言われたらしくてね。それでも読経だけでもしてほしいといったら”気休めにもなりませんよ”って言われたそうなのよ。神主に頼んだ時にも”はっきりと見えるとかではないですが私に請け負えるものでもないですし、祝詞も何の効果もありません。すでにあなた方が来てから庭の雀が数匹死にました。申し訳ないですがお引き降りください”って言われたって。まあ私でも同じこと言うとは思うわよ。それでもそこまでのものならどんなものなのかは一度見ておきたいのもある。こちらが完全に危害を加えない、あくまで話をしてきたというのを強調するために丸腰でいったし
大丈夫だったんですか?
恵子さん
なんとか大丈夫だったわよ。こっちがまずしっかりと向かい合わないと話ができないタイプなら誠意を見せるのは大事だと思ったのもあるわ。もともとはしっかりと礼儀を重んじるならこっちも礼儀を重んじることと、私が向かうことで私に有利な条件での対面ではないっていうのも理解してもらえるんじゃないかってのはあったし
恵子さんクラスでもそこまでしなきゃダメな相手なんですね
恵子さん
私でも除霊はできなかったわよ
えっ
恵子さん
できないものはできないし、私も見ず知らずの人のために命を捨てることはしないわ
私でも同じことを考えますね。それは利己的でもなんでもなく当然の行為というか
恵子さん
ちょっと見ただけでも、もうこれはダメだなっていうのは分かったのよ。四代の長い時間の絶望、枝分かれした分家ですら呪いは薄まらないことでの、絶望で悪霊だったものは地獄に住む何かになっていたわね。それをはっきりと口にするのは自分にとっても危険があったから出さないことを徹底したけれども
そこまでのものってもう悪霊を超えてますよね
恵子さん
当たり障りなく言うならば”化け物”よ。正真正銘の化け物。本当に本当に怖い存在ってこういうものだって思い出させてくれたわね。忌み地で修行した時にも感じたけども本当の化け物って人間程度では勝てないのよ。よくある英雄が化け物を退治する話は英雄はその時点で人間をやめてしまっている。そういうどうやっても勝てない存在を前にすると人間って無力だと思うわね
たしか恵子さんの修行って形容しがたい何かとの闘いをやってましたよね?
恵子さん
そう。成仏とか浄化とかもうできなく、時間をかけて自然に帰っていくのを待つだけしかできない。そのために外部から人が入れないようにしてるし、内部には幾重にも結界が作られている。私たち霊能者が修行にいっても化け物からすればそれは遊びの反中なのよ。でもそれは自然だからまだいつかは消える可能性がある。でもね
はい
恵子さん
地獄ってどうにもならないのよ。もう諦めるしかないの。そういうものからの呪いを解こうなんてとんでもない血筋でしっかりと修行した人じゃないと無理よ
そんな人もいるっていうのが怖いですね……
恵子さん
とりあえず話だけは聞こうっては決めていたから真正面に座らせてもらったのよね。どこまで私が耐えられるかもあったけども
私がちょっと耐えられないのでお茶を戴いてもいいですか?
恵子さん
どうぞ。どうにもならないって話だけども大丈夫?
大丈夫です。よろしくお願いします
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