僧侶の女性と訪問 東日本大震災から12年後の姿をレポート

311当時の話3 12年たったことでの神仏の変化

東日本大震災から12年がたち、干支が一周したことにもなります。
十二という数字は様々な力をもっているとも言われ、十二年で一区切りなどにするなどの考えもあります。

今回は現地に恵美さんと一緒に訪問してきました。
いまだに立ち入り禁止区域などもあるのであくまで入れる所や、当時の方で恵美さんが連絡を取れる方などにお会いする形になりました。

目次

僧侶でキャラが素敵な副住職に連れられて12年目の被災地を訪問

恵美さん
運転しなくていいのはありがたい
あんまり上手ではないがこれくらいの距離なら大丈夫
恵美さん
この辺もあの時は道路がひどかったからなあ……本当に車で進めるってすごいことだよねえ
だねえ。11月くらいで国道とかはだいぶ走りやすくなってたけども、細かな道路とかはまだまだだったし、ちょっと走ると瓦礫とかすごかったもんねえ
恵美さん
潮風の匂いだけってのはいいことだ
私は5月に来た時も鉄と泥と潮の匂いだったからねえ

恵美さんが事前に連絡を取ってたこともあり車は役場に置かせていただき、徒歩で海沿いを目指すことにしました。
当時は海沿いすべてが津波に飲まれており、1メートルの違いで家が無事だったなどもありました。
あの後に引っ越した方も多いですが逆に居住に来る人はいないことで地区によっては深刻な人不足にもなっています。

保障とかも出ない人も多かったよね
恵美さん
うんむ。漁師さんとか大変だったみたいでね……ただ、この海をもう一度きれいな海にして魚を取り戻したいって方もすごい多くて。なので私もこっちに来た時は魚とか練り物とかを買っていってる。それも支援の一つになるからね
帰りは車で買い付けにいこう
恵美さん
だねえ。あとこの辺には結構道祖神的なものが多くて、それらも流されちゃってね。見つかったものをもとの位置にもどしたり祠を新しくして中に祀ったりしてもらってるんだけどもなかなか神様も納得いかない場合が多くてね
神仏って頑固だっていうよねえ
恵美さん
だいたいあってる。この辺の海を守ったりするカテゴリの神様も一気に流されてだいぶ戻っては来たんだけども、まだまだ見つかってないお地蔵様や神様は多くてね。神社とかならまだあれなんだけども、道祖神系がね

恵美さんは持参したミニ日本酒を道にある祠に置いていきます。
祠は一つではなく港が見える場所や堤防の守り神などもあり、小さなものを含めてればそこそこの数があります。

全部に?
恵美さん
全部は無理かなあ。ただこうやって祀られてる部分はすごく人がこの神様に心をよせていることになるからね。前はこの神様もすごい形相だったんだよ。で、ばーちゃんがいた頃にばーちゃんが祠を直してからこの顔になったんだ。海と朝焼けを見守るのと波が来ないようにここで止める役目の神様だね
神様というか石仏の顔もかわるもんなの?
恵美さん
これじゃないとか、なっとくしてないと仁王像みたいな感じになる
すごくわかりやすかった
恵美さん
Kちゃんなんかお菓子ある?
のど飴とラムネならある
恵美さん
小さいお茶ももらっていい?

いわれるままにカバンの中にあったものを手渡すと恵美さんは波が来たら海に沈む位置の祠に向かいました。その祠の石像はたしかにどことなく難しい顔をしており、そこにお茶とお菓子を備えて二人で手を合わせました。

確かになんか顔が怖い感じはある。こう、難しい顔というか
恵美さん
うんむ。まだ納得できてないんだと思う。海を守り船乗りを守ることもできずに海に飲まれてしまって流されてしまった自分に怒ってるというか。神様も対処できないほどの出来事だったんだよねえ……それを考えるとさ。この神様がいつか穏やかな顔に戻ってくれるといいなって
人を守る系の神様なんだね
恵美さん
ここはちょうど海全体が見えるのと波が来ると沈むんだよ。それでここの祠に船から手を合わせる漁師さんも多かったんだ。その漁師さんたちがいなくなり、いろんな被害が出たことでこの神様はまだ自分を許してない。でもこうやって船は戻ってきているし、同じように漁師さんは手を合わせたり手を振りながら海に出ていく船もいるし無事に帰ってきたことを感謝する船もいる。また干支が一周したら違ってくるのかもしれない
だねえ。この神様はお酒じゃなくてお茶なんだ
恵美さん
うんむ。この神様は酔っていたら仕事にならないって考えてるみたいだから。Kちゃんはだいたいカバンに小さい飲み物をいれてる
まあ、頭痛薬飲むために小さいのは入れてるね。コンビニに立ち寄れたし
恵美さん
神様の顔が穏やかになるといいんだけどもねえ

お参りの意味を考えながら僧侶と昼食 海鮮丼が美味しかった

車で移動しながらお土産を購入し、途中のお店で名物の海鮮丼をいただきました。
お店の人も12年たってようやく普通に営業できるようになったとも言っていました。

こうやって海鮮丼とかをおいしくいただけるってありがたいことだよね
恵美さん
うんむ。復興の兆しだよね。まだまだ時間は必要だけども花火大会とかもあるし、人の流れができることでそこに留まっている気持も一緒に流れに乗って移動もできるんだよね
人が来ることが最大の復興と供養になるってことだよね
恵美さん
うんむ。基本的な供養は終わってることがほとんどだからね。ただ、それは私らかみてそうなのであって被害にあったご家族や亡くなった方にとってはそうじゃない。だからこそ僧侶ってのは時々こうして訪問することも大事になってくる。檀家さんとかだと割と散歩がてら話を聞いたりもできるんだけどもこうして距離のある場合にはなかなか難しい
私もこっちまで来るのはあんまりないからねえ。でもこうやって美味しいものを食べさせてもらえるっていうのはゆっくりとだけども人は戻ってきてるんだなって思う
恵美さん
雪が降ったらあれだけど、これだけ雪もなくて桜も早めに先送って話だし
今年は千本桜のお花見も解禁されるみたいだからまた人が流れてくる感じなのかな
恵美さん
こっち側に来た時に何も思わないっていうのはないからね。そういう気持ちを持っていることで供養にもなる。もう12年っていう人もいれば、まだ12年なんだよね。12年で傷が癒えるかってなったらそれは難しいし、見えなかったり見せない人もたくさんいる。忘れないでいようって人も多いけども忘れなければ生きていけないことあるし、忘れることでしかできない進み方もある。私は一本松は自然のままにしてあげた方がいいと思うんだよね。あれをみることで流されずに頑張ったって見る人もいれば見ることで津波やあの光景を思い出してしまう人もいる。それにああやってもう中身はなくなってるものをモニュメントにするのもなあ……あの入れ物にほかの何かが入らないとも限らないし。まあ、あの辺の人らが入らないようにしてるのはあるけども
確か枯れてるのが確認できたから保存してモニュメントにしたんだよね。陸前高田も海沿いできれいな街だからあの松を見に来る人もいるだろうし
恵美さん
なんちゅうか、はく製みたいというか
まあはく製っちゃはく製だね

僧侶の服装で現地の人が励まされるなら また来ますよ!

帰る前にもう一度役場に顔を出して挨拶をしていきました。
当時の恵美さんや恵美さんのおばあさまのこと知ってる人からはお坊様はこうやって皆さん来てくださると、いわれ恵美さんは「来れるときには来ますよ」と答えていました。

神仏の形はこの12年で変わったものもあれば変わらずにそこにあるものもあります。
12年一区切りと考える人もいればまだまだそうではないという感想を今回は持ちました。

波に削られた鳥居や砕かれて流された石鳥居の一部が役場には展示されており、まだまだその痕跡はのこっています。

通り道には更地になった土地も多くそこに家が建つ予定はあまりないようです。
規格外の津波だったという説明をしても津波が来て流されたという事実が先行してしまうことの弊害とも言えます。

東日本大震災で大規模の被害を受けたのは過疎地が多く、被害はある意味少ないと考える地震学者などもいます。
これは南海トラフ地震などが来た際には名古屋駅周辺が水没することが想定されており
東日本大震災よりも大きな被害が想定されています。

僧侶の修行を経験したからわかる 神仏について教えてもらった

神様もあんなふうになるのねえ
恵美さん
入れ物がなくなったって騒いでる神様も当時は結構いたよ。んで見つけてきたら中に入るから社や祠までもっていってくれとか多かったよ。早く持ち場にもどって人を助けたいって考えてたというか。まあ、地震でいろんな所が割れて出ちゃいけないものとかも出ちゃったりもしたんだけども
出ちゃいけないもの?
恵美さん
うんむ。こう、大きな岩とかで封印してるものなんかはその岩がなくなったら外に出るんだけどもさ
うん
恵美さん
いざ出てきたらそこに閉じ込められる前に見たものよりもはるかに悲惨な光景が広がっているわ、縄張りをここぞとばかりに拡張しようとよそ者がやってきてるわで外に出たはいいけどもよそから来た何かを食い破っていたとかもあったよ
なんかそういう封印岩とかあるよねえ
恵美さん
割とどこにもでもあるんだけども、でかいものや管理がしっかりとされてるものっていうのはそれなりにでかいものをそこに閉じ込めているからね。何かしらの悪い事とか災厄をまいて閉じ込められた存在が驚くくらいの光景だからね。やりあって封印が解けて、もどってきて、ばーちゃんに“これはどういうことだ”って聞いててばーちゃんが“おまえも神族の端くれならここで人を守ることが役目ではないのか?”っていったらその出てきたものの姿が変わってな。空になってる神社に入っていってここを自分の社にするっていったんだわ
どうなったんだそれ
恵美さん
んで、ばーちゃんがここの神様は人を守って立派に散っていった。お前にその覚悟はあるのか?社を持つというのはそういうことだっていったら”むろん“ていったんだわ。だから今はあの社の神様は違う神様になってる。ただ中身がいるっていうのはそれだけでもよくないものや自然界で生まれたものを調伏してくれるし、人から信仰されること、祈られることで力をつけているしあの神様は自身がきっかけで、その在り方を変えた存在ではある。そうやって新しい神様も生まれてるとは思うねえ。私は一つしか確認してないけども、神様だって寿命みたいなものはある。人を守ろうとすればそれだけ寿命は減っていく。被害が確かにあったけどもっとあったかもしれない被害を抑えたのは過疎地域だからこその信仰の強さもあった。その信仰にこたえて砕けた神様もたくさんあったよ。でもそれが間違ってたわけでない。いつか忘れられて消えてしまうよりも人を守って散った神様は尊いものになるからね。その社に入る神様はより良い存在にならなければいけない。無欲で向けられる祈りや尊敬、畏怖というものを受けてなお、ひねくれたままでは名折れにもなる。神様っていうのは何よりもメンツが大事だからね
それは納得できるわ。ここの神様が守ってくれたんだよとか言われて手を合わせられるのを続けられたら神様でなくとも神様になろうって思うよねえ
恵美さん
うんむ。そうやって新しい神様が今度は人を守るようになる。もともとそこにいつ土着の神様や道祖神だって何か悪さをすれば出てくる。そうなればやはりそこでキチンと神様として有るようになったほうがいいんだよ
結構な数の神社や祠とかが壊れたからね。石灯籠が崩れたとかも聞いたし
恵美さん
そうやって地震をきっかけにして神様もあたらしくなったところもある。そして人と一緒に神様も育っていき力をつけていくようになる
災害の中の小さな変化になるのかな
恵美さん
ああいう大きな災害の後には信仰っていうものは一時的であっても大きくなるからね。その気持ちを向けられたら神様のプライドがあるならね
恵美さんがちゃんと僧侶している
恵美さん
私は基本的に僧侶だからそういう入れ替えとかは神職人が立ち会うべきなんだけどもああいった事態だと立ち会える人が立ち会っていいかなって。それこそイレギュラーな状態だからね
これが大都市とからだったら人だけじゃなく人以外も大変なことになりそうだよね
恵美さん
まあでかい都市には僧職も神職も多いとは思うけども被害も大きいから難しいよねえ

僧侶の女性が考える 地震で活性化するいろんなものとは?

最近もまた大きな揺れというか余震もあるからちょっと不安だよね
恵美さん
余震って一応10年くらいまでらしいんだけどもなんか不安ではある。しかも夜中が多い
そうなんだよね。深夜とか下手すると地震で目が覚めるとかもあるからね
恵美さん
地震でいろんなものは活性化するからね。神仏とか特に
その辺も詳しく聞きたい感じはある
恵美さん
了解

この記事を書いた人

小さいころから占いに興味があって、色々と勉強しているうちにどんどん好きになり、皆さんにも占いの良さを知ってほしくて記事を書いています。

知り合いに占い師や霊能力者、お寺の住職がたくさんいるので、その方たちにインタビューして記事を書いています。

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