野生のイタコともいえる存在の恵子さんはお弟子さんをもっていません。
霊的な能力のある人は一定数ですが自分の後継者を育成していることもありますが恵子さんは自分一代で終わりだとよくおっしゃっています。
ですが、恵子さんにも何度か過去にお弟子さん希望の人が存在していました。
今回はなぜ断ったのかなどのお話をお伺いしてきました。
恵子さんはお弟子さんを取ろうとか考えたことはないんですか?
恵子さん
昔は定期的に弟子入りしたい人とかいたわよ。ただ、私との考えが合わないから最終的にはみんな違う所に行くか諦めるかになったわね
考えの違い
恵子さん
今は後継者とかは全く考えてないし私の代だけで終わりでいいと思うわよ。もともと私は事故でこういう体質になってしまっただけだし
目次
1……生まれながらに見える血筋の場合
断るのってどんな感じだったんですか?
恵子さん
もともとの血筋が見える人とかは私とは環境が違うからお断りしたのよ。もともと見える人なら愛子さんみたいに元々見える人の方が色々と理解してあげることができると思うのよ。私の場合には穏便にというよりも、どうにもならない案件が来ることも多いからいわゆる優しすぎる系の人で見えるようになってしまった人とかもそうねえ……私もどうにもならないときは祓ってしまった方がいいという先生の所で鍛えていただいているし、本当に荒行での鍛錬だったから同じ感覚を持ってる人のほうがいいと思うのよ
もともと見える人って歩み寄ったり、理解しようとする人が多い気はしますね。なんというか、対話ありきというか
恵子さん
そうなのよね。だから初見で話にならないと思ったら除霊でいいと思うときでも対話を試みちゃうのよ。それで心身に傷を受けてしまうよりも全体の安全を確保したいっていうのが私はあるから
ですね。どうにもならない時は恵子さんはストレートに消滅させようとしますよね。なんというか最短距離での解決を考えて動いてますよね。恵子さんの所にくる話や案件って切羽詰まってる状態で、恵子さんが最後通牒してる感じがします
恵子さん
そういう場合も多いわねえ。大体はほかの霊能者さんが優しく諭しても我がままを通した結果というのもあるんだけども。そこまできたらもういちいち駆け引きはしなくていいと思ってるし。だから優しすぎる感じで元々見えてしまうとどうしても霊的な存在のほうに気持ちを入れてしまうことが多くなるからねえ……私みたいにすぐに行動という感覚の人が少ないなって感じたのもあって何人か面談したことはあるんだけども、元々の霊感を持ってる人は私は無理だなって感じたのはあるわね
スタンスが違ってくると育成の途中でも揉めちゃいそうですよね
恵子さん
相性ってすごく大事だから合う先生に師事した方がいいと思うのよね
そうですねえ。それは聞いていても思います
2……自称霊能者
恵子さん
自称霊能者の弟子入りとかもあったわよ
やっぱりいるんですね
恵子さん
ただ、そういう場合だとすぐにわかってしまうから最初に断っちゃうんだけども、本人が認めないことも多いのよ
そういう性質の人っていますよね。どうやっても特別な自分になりたい人っていうんですかね。最近ではSNSとかオンラインゲームなんかにも多くいますけども
恵子さん
そういうときどうしてるの?
実際に見える人とお付き合いさせてもらってるので“それはないな~ちがうな~”って見てますよ。大体が選民意識も強いので距離は置きますね
恵子さん
私はむしろ見えるとかはデメリットだと思うけどもね
ずっとおっしゃってますよね。日常生活が難しくなるし、霊的な存在はこっちの都合なんてほとんど考えないから疲れるって
恵子さん
そうなのよ。だからそこまで好き好んで霊能者になりたいっていうのもわからないのよ
大体が“あなたより私のほうが格上。話しかけてきていいわよ、でもこっちからのお返事はお気に入りにしか声をかけないけど、実は気さくだから話しかけてねいっぱいちやほやしてね”って人が多い気はしますね。あくまで超私見ですけども
恵子さん
だいたいそんな性格よねえ(笑)本当に見える、わかるならうちの神様がわからないはずはないし、特徴のある守護霊を連れている人をみて全く驚かないわけない。その時点で見えてないのよ
偽霊能者や偽占い師は何度か見てますからね
恵子さん
だいたいみんな性格が似ていくというかそういう人だから特別な自分になりたいのかって考えちゃうわね
これが小中学生ならまだあれですけども、社会人ってなるとちょっと救えないですよね
恵子さん
そうなのよねえ。無理やり見えるようになってしまう、してしまうとかもあるけども予想したよりもずっと過酷だし見たくないものを見ることになるからね。そうなってから”話が違う“とかいわれても困るもの。それにそういった能力を身に着けたとしても何が特化されているとかはその時までわからないもの
確かに、見える、聞こえる、触れるとか色々とありますもんね
恵子さん
全部が最初からあるっていうのはそういう血筋の人だと私は思ってるし、私みたいに後天的にそうなってしまうとほかの部分は修行とかをつけていただいて引き上げていって平均的にしていくこともあるもの
そのほかに霊的な存在とのコンタクトの取り方や、交渉の仕方。話の持って生き方とかも大事になりますもんね
恵子さん
そのあたりは自動でできると思ってる子も多いからね。実際に“私はその霊的な存在の心がわかる”とか言ってくる子もいたし“貴方みたいなおばさんじゃ勝てない相手だから下がって”とかもあったわね
恵子さんが勝てないってなるとカテゴリー“神”じゃないですかね
恵子さん
そういう子だと私も疲れてしまうからほかの方を紹介してこってりと絞られるとかもあるのよ。どうにもならないわねえ……学校に行くよりも除霊の勉強をしたいとかもいるし
うわあ
恵子さん
学校行かずに霊能系に進むってなると降霊とかになるんだけども、それは聴覚や視覚の問題でその道に入ったとかそういうのじゃないと厳しいと思うわねえ……それこそ昔のいたこさんよ。あの人らは視覚が薄い分肌でほかのものを感じやすくなる。それを修行で霊的な方向に向けていくことで降霊を行っていくようになる。実際に霊能力が合ってなった人もいるんだけども、降霊にもさまざまなスタイルがあるからね。必ずしも霊能力が必要とはいえないし。そこに来た人が安心できる、来てよかったと思えるならばそれはそれで一つの仕事になるんだから
降霊ではなかったという話も聞きますしね
恵子さん
こころの慰めや希望になるのが、いたこの役割の一つでもあると考えておくと、どのような人が向いているのかなどもわかりやすいかもしれないわね
疳の虫というものみたいに実際には軽度のADHDに対する名称がないときはそうやって疳の虫を出したからあとはしっかりと教育すればいい、とかがそれですよね。親も疳の虫は出て行ってから普通の子供並みにはなんとかできるようにって今でいう療育になってたでしょうし
恵子さん
ここ十年くらいでしょ、そういうものを疾患として認めて病気として受け止めてほしいとかは
ですねえ。昔は本当に疳の虫や民間の神様とかを使ってそういった病魔を追い出すことでしつけや療育にあたる部分を担っていくきっかけだったでしょうし。実際にそういったトラブルでの殺人事件とかは田舎であるほどに多かったのもありますね
恵子さん
詳しいじゃないの
少し興味があって調べたことがあるんですよ。その際に“神様がこうしろといった”とか神様のお告げにしたがった結果事件に発展してしまったとかは古い時代から見ても少なくはないですからね。これも療育の咆哮を間違えたと私は考えてはいますが
恵子さん
そういった霊能者ではないけれども一種の神おろしを儀式としてするって人に向かうのはいいと思うよね。それで誰かの支えになれるなら。ただ、そういった人ってわりと良くない方向に行っちゃうから宗教的なものに行ってしまうこともあるし。なので自称霊能者も私はお断りしてるわね
3……物事を公平に見れない
物事を公平に見れないっていうのもだめな感じなんですか?いやまあ、ダメな気はしますけども
恵子さん
私たちはあくまで依頼してくるのは基本的に人間になるのよ。人間に対して危害を加えない、霊的な存在の言い分と人間側の言い分をすり合わせての中間地点、妥協地点を見つけていく。どうにも立ち行かないならば除霊に入る、という形になるのよ
ええ
恵子さん
その時に霊的なほうに肩入れしちゃう人っていうのも私は断ってしまったのよね。たしかに境遇は大変だし、同情しそうになるのは分かるんだけどもね。それでも私たちはあくまで依頼者のほうを優先すべきなのよ
仕事ですからね
恵子さん
それが霊的な存在を優先するならば霊媒師とかになってはいけないのよ。霊的な存在っていうのはこっちに有益なことは少ないのよ。そうじゃない場合もあるけどもごく少数になるわね
でしょうねえ。生きてないので支払いとかもできないですし
恵子さん
そういう考え方もあるわね
霊的な存在の支払いってなると想定できないものになりますし
恵子さん
霊的な存在がまったく支払い能力がないわけじゃないのよ。事実私も何度も受け取ってるし
ですよね
恵子さん
でも、生きてる人間から依頼されたものであれば優先すべきはそっちになるのよ。そのうえで双方の話を聞いて妥協点や人間側の瑕疵があるならそこを正していくことも大事になるし。そういった事をちゃんとできるということが公平性になるわね。たしかに、依頼者のほうが酷いことも多いわよ。その中でどれだけ双方の妥協点を見つけるかだもの
霊的なほうに入れ込んでしまうとどうなるんですか?
恵子さん
最終的には人を辞めることになるわね
最終的に
恵子さん
そうよ。子供の霊に同情してしまって自分の子供よりも大事にしてしまって家庭が崩壊して子供さんも壊れてしまって、霊的な子供が自分が実子だと強く出るようになってしまったとかもあるもの
そのお家はどうなったんですか?
恵子さん
まだ子供さんは小さかったからしかるべき施設に入って、自我を取り戻してから養子になったはずよ。養子先で大事に育ててもらってるからいいけれども、自分の子を犠牲にしてまでかわいそうだからという理由で霊的な子供を大事にしてしまうとかは誰も幸せになれないのよ
子供の霊だとまあなんとなくかわいそうだなって思ってしまうことは確かにありそうですが……
恵子さん
その霊的な子供がいつ亡くなって今どれだけの時間がたっているのかをちゃんと理解できるのかどうか。本当に子供なのか。子供に擬態しているのではないか。私たちが行う話し合いと交渉はこういった部分をはっきりとさせるものも大事なのよ。もちろん自分が見知った子供さんであればそこから判断もできる。でも、そうじゃないことのほうが多いっていうことも忘れちゃいけないのよ
ですねえ……人の姿を作ったり擬態とかないとは考えられないですよね。私も恵子さんのお手伝いを少しですがさせてもらってるので、その辺はなんとなく理解できます
恵子さん
なので、霊的な存在のほうを重視する人も私は無理ねえ
そういう人がいて今に至るんですね
恵子さん
後継者とかは考えてないし、もともと私も事故でこうなってしまったわけじゃない。だから私は私一代で終わりでいいと思ってるわよ。私が死んだ後にうちの神様がどうなるのかはわからないけども、神様の祭り方とかは嫁ちゃんに伝えてある。孫ちゃんも神棚やお社には手を合わせるものって覚えてるし。それだけでも十分かもしれないし、たりないなら外に行くだろうしね
もったいない気もしますけども、恵子さんが決めたことが一番大事ですね
恵子さん
みんながそう思ってくれるといいんだけどもねえ……今でもたまに弟子を取って除霊を教えろとか言う人はいるわよ
恵子さんの除霊って基本的に肉体言語でぶっとばすですよね
恵子さん
話にならないなら無駄に体力や神経を使うよりも粉砕した方がいいじゃない
そういう現場も何度も見てますねえ
恵子さん
最初から悪意と殺意しかないものには話し合う余地もないからね。その時には一気に片付けていく方を優先するわよ
それをまあ、あまり合わない感じの人にそれができるかってなればそうもないでしょうし
恵子さん
似た気質の師匠につくことができれば一番だと思うわよ。私は弟子を取る気はないからそういうところに無理に来てもいいことは起きないし
ですねえ……でも、お弟子さんがいれば私みたいのに手伝わせる必要はないんじゃないですかね?
恵子さん
手伝ってくれるなら余計に弟子とかじゃないほうがいいわよ。こっちがこうしてほしいということを忠実にやってくれる、この情報を調べてほしいとかの時にちゃんとやってくれるってのがすごくありがたいのよ
言われたことしかやってない気はしますね
恵子さん
その分何にも肩入れしないじゃない
ですねえ。極力安全にが好きなので
恵子さん
霊的なものに有利になるようなことをしない。必要なことをやってくれるってなかなかいないのよ。まして除霊の手伝いで詮索をいれてこないとかはね
基本的に怖いことが苦手なのであまり聞かないようにしてるのはありますね
恵子さん
今までのことがあったからどうしても私も手伝ってくれる人も、できるだけ物事を公平に見てくれる人を求めちゃうのよ
こちらのやったことに対価もいただいてますし
恵子さん
それも公平なことなのよ。善意だけではいけないし、取りすぎてもいけない。そこも大事な部分ね
極端な話ですけども、お孫さんとかが後継者になりたいと言ったらどうしますか?
恵子さん
デメリットしかないことを伝えて普通に生きていく方がいいことを教えるわよ。普通の生活がどれだけ大事なのかはいくらでも伝えられるからね
ですねえ。私はそういう荷がまったくなかったので本当に良かったと思います
恵子さん
いまはネットが身近になったから自称霊能者も増えてるからねえ……そういったひとたちにも普通の生活が一番いいことを理解してもらいたいわね
結構トラブルは聞きますねえ
恵子さん
そういう情勢も含めて私は私一代で終わりでいいのよ
納得しました。今日もありがとうございました