執筆者:ゆい
恵子さんは事故によって霊的な能力を得てしまった後天的な霊能者です。
今回は恵子さんがどのような修行をしてきたのかを直撃インタビューしてきました
恵子さんの修行ってどんな感じだったんですか?
恵子さん
私はわりと厳しい感じのを日帰りで受けたり、長くても2泊とかを繰り替えしていた感じね
日帰り
恵子さん
日帰り修験者コースみたいなものね
わかりやすいですね
恵子さん
見える部分を最初に鍛えたんだけども、いわゆる忌み地(禁足地に近いものであまりはいってはいけないとされる場所と思ってください)で霊的なものをはっきりと見えるようにするのと、声を聴けるようになるのを一緒にやったというか
一気に進んでいくんですね
恵子さん
そこそこ見える状態だったからね。だともう実戦で鍛えていくしかないというのがあったんだろと思うのよ。紹介された先の霊能者さんも“ここは私有地だから何をしてもいい”って言ってくださってね。その人はとても強い人で今の私がこうしているのもその人のお陰なのよ。もう亡くなられたんだけども、そのときはすごく泣いてしまってね。お葬式でも私もだけども、お世話になった人がみんな泣いていたくらい慕われた方だったわね
恵子さんの師匠みたいな感じの人ですね
恵子さん
そうなるわね。で、その忌み地は元々あまりよくない事故があってその人のお家で供養もかねて買い上げた土地だったのよ。でもね、すべてを祓うことができない土地でもあったの
だと、どうなるんですか?
恵子さん
その一角をそういう霊的なものを閉じ込めておく場所として残し、他の人が入れないようにしながら管理している状態だったわね。もちろん、誰かがその土地も払えるようになればそれはそれでよかったんだとも思うけれども。そうやってそこそこ強いものを閉じ込めた場所っていうのは格好の修行空間にはなるのよ
猛者専用の修行空間じゃないですかそれ
恵子さん
時間がたたないと消えないものってあるからねえ……それをあの中に閉じ込めている。それはすごく大変だし、管理するのも苦しいと思うわよ。でも、私たちみたいな修行する場を求めるものにはとても適した場でもあった
だってそこは心弱い人がいったらアウトな空間だと思うんですが
恵子さん
そのとおりね。ある程度の条件を持ってないと入れないし入らせなかったと思う。自分に向けられる悪意と憎悪と怨念を感覚と視覚と嗅覚で体験し、正常でいられるかどうかがまず求められるのよ
聞いてるだけで怖いです
恵子さん
そこで私は見える部分をまず重点的に鍛えてもらったの。中にいる者がどんなものか、何をしているのか。朝五時くらいから入山して夕方日が落ちる前に帰る。でもね……
?
恵子さん
悪意も憎悪もたしかにあるけども、あの中にいるものは中にいる限りは消滅させられることはめったな事ではないのよ。それをわかっているの
安全空間の中に入ってくる初心者。SPFでいう所のいいからかえる存在ですね
恵子さん
よくわからないけどもそんな感じね。こっちを遊び道具としてそれでいて壊れなうようにある程度の加減をしながら迫ってくるのよ。そうやってどこまで耐えられるのかの上限を引き上げていくのがあの空間だったわね
恵子さんじゃ無理ですねえ
恵子さん
ほかにも何人もあの空間で鍛えられてるからねえ……で、向こうの悪意は個人に対するものじゃないのよ。当時の村や世界、そういうものに対する無念なのよ。小さなものではなく言ってしまえば世界そのものに対する恨みだから小さな人間がどうこうってレベルではないのよね。だからこそ、ある程度の安全が確保されて強い存在のいる空間として存在していた
まだそこはあるんですか?
恵子さん
○○って神社から登っていくとあるわよ
そこにまだいる強い者たちは怖いですね……
目次
霊能者としての最初の修行は霊的なものの存在を認識するところから
恵子さんの修行はいわゆる中級者が挑戦する状態からのスタートでした。
それをある一定の水準まで引き上げることが次の段階の祓えるという部分にかかるようです。
で、中のものは見えたんですか
恵子さん
見えた見えた。人の集合体というか、なんとうかね。こんなにおぞましい形で存在することができるんだと感心したわね。そこからその存在の声を聴いて、何を求めいるのかを聞き出す。やることは相手が人であるのと同じだけどもその存在のおぞましさと常にこちらに向けられる悪意にどれだけ耐えられるかの空間ではあったわね
走り回ったりもするんですか?
恵子さん
しなかったわね。そこでただ、対面して。それが私の周りを取り囲む。一個ではなく複数がそうしてぐるぐるとゆっくりと回る中でひたすら正気でいられるかどうかが最初の段階で求められることだったわ。これに耐えられないなら祓うとかは考えないほうがいいとも言われたし
適性検査も兼ねてたんですね
恵子さん
ここで持つならある程度の霊的なものを相手にしても大丈夫って基準にはできたと思うの。もちろん、耐えれなかった人もいる。そういう人は見ることや聞こえることを重点的に鍛えていって、相手の希望は叶えられないけれども、できるだけの希望は聞きますという形になっていくのよ。霊的な存在も悪くはしてくれないなら、と退くことを覚える。この関係を作れるようになるだけでも日常というのは大きく変わってくるからね
こちらから何かを仕掛けることはありませんって相手に伝わってるだけでも違いますよね。実生活でも
恵子さん
そこなのよね。その部分を理解すると、どう進んでいくのかも考えられるというか。相手は霊的なものだけども意思があるならばきちんとした態度で臨むべきなのよ。けんか腰ではなくあくまで対話をしに来たと
ええ
恵子さん
そのときに自分が気圧されないようにするにもあの場所は良かったと思うわ。しばらくするうちに、向こうとの対話が少しできるようになってきたもの
ただ、人の集合体のおぞましいものではあるんですよね?
恵子さん
その姿が変わることは最終日までなかったわね。それはしかたないことだしそうならなければおそらく存在できなかったんだろうし。異形にあるには理由があることも多いのよ。集合体になることで相互の強さを取り込んでいってある程度の強さを確保していく。でもその中には小さな子供も混ざっていてね。それはすごくせつなかったわね……
世界を恨むというと飢饉とかそういう時代ですか?
恵子さん
そういう時代よ。人であることを捨てなければ生きられないこともある時代だった。そう考えるといいかもしれないわね
それは……切ないですね
恵子さん
それくらいの時間がたっても消えずに残るほどの恨みを持っているのよ。よほどの才能を持った霊能者でなければ祓えないでしょうね。払ったとしても代償が大きすぎる。無傷で勝てる相手ではないもの
そんなものと過ごすんですよね
恵子さん
耳じゃなく直接頭に声が入ってくる感じだったわね。その状態で相手の言葉というか意思を聞き取っていく。しばらくは帰り道に何度か吐いたわね。はいたものにも何かが混ざってるような空間だったけども
忌み地での修行を経て霊能者としての力を鍛える
あの辺近づかないようにしておこう
恵子さん
山林とかで明らかに入っちゃダメとわかるところには入らないほうがいいわね。これは本当に思うわ。何かをその一角に閉じ込めてる可能性もあるし、目印が後半で見えないとかもあるからね
見える、聞こえるをそこで鍛えて行ったんですね
恵子さん
そうなるわね。そうやって何とかした感じではあるけども……どうにもならないこともあったわね。向こうもこっちが耐えられるぎりぎりで遊んでくるというかね
本当に実践ですね。どれくらいその忌み地にはいかれたんですか?
恵子さん
忌み地自体には一か月ちょっとかしらねえ……そのくらいになると軽い雑談もできるようになるのよ
雑談
恵子さん
自分たちがどれほどの恨みをもっているのか、そういうこととその時の歴史の流れとか、私たちが本来知らないことに対しての恨み辛みになるわね
飢饉とかは国内外で本当にひどいですよね……
恵子さん
そういうどうにもならない、恨みとかとも向かい合うことがイタコは出てくるからね。直接のものではなくても、そういうものを背負っている人の相談も出てくる。その際にどれだけ相手の存在から様々なものを引き出せるのかも大事になってくるのよ
一か月だと相当鍛えられそうですよね
恵子さん
鍛えられたわ。その人の集合体の中にも序列があるのよ。その一番上の物体から“よく耐えよったな、大したもんだ”といわれた時にああ、ここに来ることはこれで終わったんだなって……
…………………
恵子さん
能面の翁ってあるでしょ?あの顔に近いものが真ん中についていて無数の手足のある人の集合体よ。顔も無数にあるけどもその翁だけは常に柔和な顔だったわね
優しい人だったんですかね?
恵子さん
逆ね。強いからこそ、いつでもこちらをつぶすことができる。つぶさずにぎりぎりのところでの接触をしてくる。それは強者の余裕だったのよ
……………………
恵子さん
まだ、あの忌み地にいるでしょうね。あと三百年くらいはあの土地をあの家の人が管理していかなきゃいけない。うっかりと見える人が近くを通れば見えてしまうかもしれない。あれはそういう存在なのよね
その空間から出れないことだけが救いですね……
恵子さん
そうなってくるわね。私も本当に良く耐えれたと思うわ
霊能者として古物のお祓いに同行
聞こえる事と軽い意思疎通を終えた後に待っていたのはさらにしっかりと聞くことでした。
この日から恵子さんは違う方のところに修行に行くことになったそうです。
そのあとどうなったんですか?
恵子さん
このかたの斡旋で違うところに修行に向かうことになったのよ
斡旋(笑)
恵子さん
イタコとか霊媒師って数が少ないからね。次世代に引き継げるなら引き継がせたい人っていうのは多くてね
たしかに希少種だとは思います
恵子さん
で、今度は古物を扱う人の処で古物についてるものの要求の聞き取りだったのよね。物の中に様々なものが閉じ込められているからね。それが霊的な者や人に対しての危険物の場合にはまず相手の要求を聞き、こちらができることを伝えていく。これも完全に実践だったわね。その時は別の人が祓ってくれてはいたけども
分業ですねえ
恵子さん
バブル期って海外から様々なものが入って来たり旧家とかから、曰くのあるものを買い付けたりすることが多かったからね。当然、者同士のぶつかり合いもあるしトラブルも出てくる。それに対して対応できるのが霊能者やイタコ、霊媒師になってくるのよ。当時ってオカルトブームもあったから霊能者自体はそこそこいたんだけども
数はいても実戦ができる人が少ないってやつですよね?
恵子さん
そういうこと。実際にどこまでやれるのかとかは口コミとかになってしまうからねえ。霊能者で本当に霊的な対応ができる人って少ないから横のつながりがすぐにできちゃうのよ
すごくわかります
恵子さん
それでね、古物に入ってる存在は対話をするのが割と楽だったわね。祓う人の手順とかも見れたし。そういう部分も含めてそこに出向させられたんだとは思うわ
だんだんと恵子さんの原型が出てきてる感じがします
恵子さん
基本的な修行自体は三か月くらいだったかしらね。何とか形にもなるものなのよ。途中で易学をしっかりと学んでる人とつながりもできたし
易学ですか
恵子さん
学問として霊感とかを使わずにその確率を絞っていくのは別の意味ですごいわよ。この中のどれかが問題を起こしてる、という時に来た場所や方位、大きさ、角度とかも使って“たぶんこれです”って出してくれるのよ。それを私が対話をして希望を聞く。そうやってこちらを試してくる古物なんてものもあるからね
古物はこちらを試してくるとはよく聞きますね
恵子さん
それは間違ってないのよね。対話するに相対する存在がどうかを見ているというかね。認められたらそこで初めて対面できる感じで。中にはすごくひねているのもいるからね(笑)
それもなんかわかる気がします(笑)
恵子さん
そういう試しや逆なでしてくることに関しても耐性ができているかどうか。こちらはどこまでも冷静でいなければいけないからね
すごく勉強になりますね。感情的になってはいけない、冷静でなければいけないという部分が
恵子さん
霊能者とか退魔師っていうと派手に祓うイメージがあるのはよくないわねえ。実際に派手に暴れてくれる程度の存在だと楽だけども、搦手で来るほうが圧倒的に多いし。そういうものを相手にしていくのが私たちイタコや霊能者になるからね
霊能者の仕事の大変さとは?
恵子さんはほとんどの案件を淡々と受けて解決させていきます。
派手な大立ち回りなどは数える程度しかないといってもいいかもしれません。
常に冷静であり、その中で最大限の答えを見つけるのが霊能者が霊的な存在にすべきものだという考えは置き換えれば人との対話や関係性にも似ていると思います。
肉体言語で語り合う恵子さんとは思えない修業時代ですね
恵子さん
んーでもねえ……最初の段階で“どういってもダメなものはいるからその時は遠慮なくぶちのめせ”“成仏させてやるのも優しさだ”っては言われてたわよ
基本はそこなんですね……
恵子さん
いってもダメなものはダメだし、そこでようやく自分が消滅するかもと気が付いて対話にくる場合も多いからね。急ぐときには“話をする気がないなら最初から全力でいく”と伝えるのも短時間で何とかできるコツにはつながるわよ(笑)
いつもの恵子さんだ
恵子さん
で、体力も精神力も使い果たすことが多いからそのあとは無理せずにしっかり休んでしっかりと食べるというのものそこで教わったわね。私も大仕事を受けた後はしばらくほかの仕事は取れないもの
私の知ってる恵子さんのスタイルですね
恵子さん
本当に体力とか残したいときはあなたにドライバーも頼んでるでしょ?そういうものもその古物扱いの時に教えてもらったというかね
古物関係は大変みたいですよね。日本刀とかたまに持ち込まれてますし
恵子さん
なんというかね。そこの古物の方の息子さんがそういう案件あがると私のほうに連絡をくれるというかねえ……それも縁ではあるんだけども
信頼できるから預けるんでしょうね
恵子さん
ありがたいけれども、難しいものが多すぎるのよね
でも、恵子さんのベースがどこで作られたのかがわかるっていうのは私は嬉しいですね
恵子さん
うちの息子もそこまで走らないし、嫁ちゃんもしらないからねえ。私は後付けでこうなったから孫とかに何かそういう力が出るとかもなく一代で終わるのは安心できるわ
またその辺も聞きたいです
恵子さん
いつもでいいわよ