恐山のイタコと霊媒活動のできるイタコの違いとは? 現役イタコに聞いてみた

恐山のいたこと霊媒活動のできるイタコの違い
執筆者:ゆい

イタコは古来から日本に伝わる交霊術のできる人物のことを指します。
このページでは、恵子さんのような霊媒活動のできるイタコと、恐山のイタコの違いについて恵子さんにお伺いしてみました。

元々の冷媒体質の人もいれば、視覚障害などで霊的なものへの感度が高くなりイタコになる人もいたそうです。

一般的にイタコといえば、霊的なものを下ろしたり、代わりに霊的な存在の言葉を伝えたりする存在になります。

イタコとしての定義は広いとも考えられます。

では詳しく見ていきましょう。

目次

恐山のイタコとその他のイタコは違う?

今回は一般的なイタコと恵子さんのような武装タイプのイタコの違いをお聞きしたいのですが
恵子さん
武装(笑)まあ、お茶でも飲みながら
いただきます。イタコって恐山のイメージが結構強いと思うんですよね
恵子さん
イタコの定義をどこにするかで変わってくる感じになるわね。イタコの定義が降霊や交霊だけでもイタコではないのよ。この時点だと降霊なのか憑依なのかもわからない場合もある。交霊や降霊としてなりたつにはその状態で霊的な存在との対話なども比喩用になるの。この対話なとかはそれなりに修行や才能が必要になるわね
それだとすごく納得できる区分けですね
恵子さん
ただね、あちらの方のイタコの場合には除霊とかをほとんどしないのよ。その分降ろすこと、対話することに特化できる。危険な相手を降ろすときには除霊できる霊媒師やイタコを増援に呼んでることが多いでしょ。僧侶とかでもいいけども
特化といいますと?
恵子さん
降ろすことに特化してるから、本当にすごい人だと歴史に名のある人を降ろしたり、あまり大きな声ではいえない人を降ろしたりもできるとはいうわね。ただ、そういう特殊な降ろしをするイタコは恐山とかのメジャーな場所には出てこないことがほとんどよ。地元の口コミのみで紹介してもらえる。そういう奥まった存在としてイタコを生業にしてる感じね
恐山はメジャーな感じになるんですか?
恵子さん
ある意味テーマパーク的な存在ではあるわね。どこもそうだけども本当に危ないところは人が簡単に入れないようにはしてるからね。恐山だって本山的な部分は別にあるからね
確かに、私みたいなのが観光とかで入れる場所に危ないものを置くことはないですよね
恵子さん
そういう考えでいいわね。なので、恐山にいるイタコもイタコではあるけどもガイド的な存在という感じかしらね。本格的なイタコは全く違うところにいる感じよね。そういう特化した降霊の専門家は本当に少ないから希少になってくる
確かにレアですよね
恵子さん
希少な霊能力を持ってるとも言い換えられるでしょ?
ですねえ
恵子さん
そんな希少な存在をノーガードで交霊させると思う?
あー……それはないですね。三ツ星シェフのご飯を簡単に出さないというやつですよね
恵子さん
降霊に特化してるぶんその間はノーガードになるし、本当に厳重なところで降ろしてると思うわよ。そういう希少な人って元々の血筋からのイタコであり、かなりきつい修行をしてる。一度失ったら変わりが中々出てこない存在でもある。だからこそあまり良くない霊的なものは取り込みたいし、憑依できるならば生前にやり残したことが全部できる可能性が高くなる
だと、払うことに特化した人たちを置けばいいってことですかね?
恵子さん
単純に考えるとそうなるわね。ただ、こういう人を狙いに来るのはそれなりに強いものが多いからね。双方の思うようにはなりにくい感じではある

イタコの範囲は広いものになりますが、その中でも降ろすことに特化したイタコは血筋なども多く、次世代が育っていない状態での引退は少し難しいようです。
血筋は直径だけではなく、その家の血が入り霊能者としての才能がある場合は戦前までは健康状態などには関係なくイタコになる娘さんも多かったそうです。

イタコのイメージとして視覚障害のある方というイメージのある方も多いかもしれません。
その家の血筋では遠縁になってしまうけれども霊能者としての才覚がある場合は最後に人工的に視覚を無くすなども古くはあったといいます。

ですが、このような視覚を無くした女性は不自由のない生活と、サポートしてくれる伴侶が準備され幸福に過ごせるように配慮も十分だったとも言われています。

現代社会、都会化などでは全く想像できない部分かもしれません。
ですが、田舎の因習などは今でも完全に消えたものではなくこの話も完全にないとは言い切れないのも怖い部分です。

恐ろしい側面もある、古来のイタコのなり方

イタコって目や耳が不自由な方のイメージもありますね
恵子さん
五感の一部を無くすことで他に対する感性を高くするというのはあるだろうけども、それは本当にその状態に自然になってしまった場合にはいいんだろうけども
恵子さん
江戸とかそういう時代には、遠縁でイタコとして価値を持たせるために視力を人工的に奪うとかもあったともいうからね。明治あたりまでは信仰って今よりもずっと大きなものだったし、いまでも女人禁制の山とか一般の人の入山を禁じてる山とかはあるからね。そういうものがもっと根強い時代にイタコになるというのは元の血筋が強ければ何とかなるけども、血が薄いけれども霊能力がある場合には何かを無くして能力を引き上げることもある。あくまで伝承的なものだけども
血の濃さってやっぱり大きいですか?
恵子さん
能力が高くなるのは血の濃さはあると思う。そうじゃ無い場合には私のような事故でなるか、大病で生死の境をさまよったとかで霊的なものに目覚めるのもあるわね。私はまったくそういう家でもないし、直近でそういう霊的なものを持ってる人がいるとかもないし。後天性の霊能者の場合には元の感覚を抑えていく事も修行にはあるわね
ほへえ
恵子さん
そこまで決死の覚悟でイタコになろうとして来た家の多くが貧しかったり、家系の末席であること本家から責められたりして、どうにかしてその環境から抜けるための手段として娘さんの同意を得て視覚を無くしたというかね
いやいやいや。それはいくら何でも
恵子さん
イタコって言葉は最近のものでもあるというかね。古くは踊り子やまじないしなんかも霊的な能力を持ってる人が多かったし。覚悟を決めてきた娘さんに対して無碍な扱いなんて今も昔もできないものよ。それに、今よりもずっと霊的なものへの感情や様々なものが多く深かった時代だもの。その娘さんから恨まれたら末代まで家に災いが降りかかるとも考えるでしょうね
わかりやすいですね
恵子さん
血筋を守りながら次の世代の中から一番才能のあるものを後継者にしていくのも多いわね。霊的な能力が高い子は日常生活を営むのも大変な場合もあるから。学生しながら週末は修行したりして、普通の生活が送れるようにして今だったら大学まで出てから広い知識をもってイタコになる子もいるし。知恵と知識はあって困るものではないからね
イタコの世界って本当に歴史とか知らないと大変な気はします
恵子さん
霊的なものの由縁や本体が何であるのかを見つけるのに知識って本当に大事だからね。霊的なものによってはかなり意地の悪いことをいってくるのもいるから
現代のイタコだとそうなってくるんですね
恵子さん
でもね、そうじゃない時代でイタコになった子は覚悟を決めてイタコになってる子も多かった。その決意や意志の強さは知識と同等の価値があるものなのよ。時には知識以上になる。その覚悟を飲み込めるかどうかも霊的なものは一種の賭けになるわね

イタコだけではない、決死の覚悟が生む能力

イタコでないですが、溜池を作るために人柱にされたとかも、人柱になる強い覚悟と意思をもつ者がそこにいるからこそ神様や土地を守るものや荒らすものが落ち着くというのに似てますね
恵子さん
そう。何があっても曲げることのない意思ってそれくらい尊いものであり神様や霊的なものにとっては価値の高いものなのよね。なので、視力を故意に失ってまでイタコとして生きることを選んだ娘さんに対しても同じようになるわね。だからそういう子にはいい旦那さんが来ることが多かったらしいし、生まれた子が霊的な能力がなくても大事にされてきたってのも多いはずよ
なるほど……神様は金銭とかじゃない部分を見るのはわかりますが、覚悟ってやっぱり大きいんですね
恵子さん
人が本気で念じるものってとても強くなるのよ。良いほうにも悪いほうにも。その覚悟を神様は受け取って願いをかなえることもあれば、供物として凄惨なことが起きるときもある。神様は平等に願いを受け取るわよ
恵子さんはよくそれ仰ってますものね
恵子さん
イタコになるためにすべてを注いできたら、神様だって多少はどうにかしてあげたいって考えると思うわよ。私たちみたいに払うほうのイタコは総合的な平均点って感じかしらね。交霊や降ろすことに特化してる人は同じイタコでも分野が違うというか、専門職ね。私とか陽子さんは降霊よりも見るほうを重視してるからね
専門職、すごいわかりやすいです
恵子さん
見ると降霊って全く違うからね。降ろした状態で自分を保ち、何があっても自分の体や人格を乗っ取らせない。私も短時間ならできるけれども、あまり公にできない方々やテレビに出るような方は降霊で長時間の対話を求めるからね。その中であくまで対話、口を貸すと状態を維持するのは本当に心身に負担が来るからね
降霊の長時間と聞くとすごく大変なのはわかりますけども、自分を保ったり自我を持っていかれないようにというのは例えばですが、良い霊的な存在でも影響がでるものなんですか?のっとりというか……
恵子さん
死者はいつだって、もう一度生きてみたいと考えているものなのよ。中には事情があって上に行けないような措置を取られてることもある。そういう霊的な存在って自分が自由にできる体を手に入れたらまず自分が取られている措置を解除に行くでしょうし、そうさせないためにも自分をしっかりと保たなければいけない

霊的な存在は自分の意志ではなくそこに残るように措置を取られることもあるらしく、降霊で様々な情報などを引き出すことがあるそうです。
これらはあまり大きな話にはできないものらしく、ぼかしながら話を伺う形になりました。
日本はもちろんですが海外でもある話らしく、そのような措置のされた宝石やアンティーク細工などが人の手に渡りトラブルなどになることもあるそうです。

本当に能力のあるイタコは、あまり表には出てこない

そこまでの措置をとられるほどだと、やはり霊的な力も非常に大きいんでしょうね
恵子さん
そう考えるといいわね。だからこそ、降ろしている間はずっと一定の状態を維持して波のない状態にする必要があるの。それを長時間維持して最後に開放するまで一切のブレを無くしておく。そんな状態で他の行動なんて一切できないし、疲労の状態に除霊なんてできるわけないからね。だからこそ、特化してる人ほど完全な分担になるのよね
ですよねえ。もしかしたら元が人ではないものや、神様だったものものあるかもしれませんしね
恵子さん
そうなのよね。神格化してしまった者だってあるからね。そういうものを降ろす専門家は表にはあまり出てはこない
すごく納得しました……
恵子さん
普段は普通に過ごしていても、必要な時に霊媒として降霊や神降ろしを行う存在。あまり出会えないイタコになるわね。本当にイタコとして純粋な存在ともいえるというか
預言者的にも感じますね
恵子さん
実際に預言というか未来視が多いと思うわよ。私もはっきりとは聞いてない分野ではあるけれども。恐山とかのイタコの流れの最高峰の霊媒降霊なんじゃないかしらね。そういう人と私みたいな除霊や退魔が中心のイタコでは分野が違ってくる。こんな違いでいいかしら

降霊術中心のイタコと、除霊や退魔中心のイタコ

わかりやすかったです。恐山のイタコは降霊メイン、恵子さんたちは除霊とか総合でまんべんなく、って感じですね
恵子さん
私も便宜上イタコって名乗ってはいるけれども、細分化すれば霊払とかそういうものに近いかもしれないし、陽子さんたちは巫覡とかそっちのほうが近いだろうし。ただそういう言葉では伝わらないからメジャーな言葉としてイタコだと、なんとなく霊的な事の対応ができる人なのかなってなるでしょ
なりますね。イタコさんは霊的なものっていうのがセットになってます。私は一般の部なのでイタコさん=霊的な何かとのコンタクトを取る人、って感じです。でも、私の小さい頃とかはすごく心霊ブームだった気がするので、そこで霊能者って言葉も覚えたというか。オカルトブームとかは私よりも上の世代だとは思うんですが心霊特集とかはお昼の時間とかゴールデンタイムでもやってたので、夏休みのお昼とかの心霊番組すごく怖かったです
恵子さん
大丈夫よ。本当にまずいものはテレビにはでないから
そんな怖い話はいらないです
恵子さん
そこそこ安全な所にいってるとは思うけど、100%安全というのはないのよね。有名な霊能者がここはすごく危険といってる場所とかは私も何回か行ってるるけども、霊能者ができる範囲を超えれば危険という扱いになるというか。本当に特殊能力もってる人はそういう番組制作でいたずらなことをしてしまって大変な状態になってしまった人を、表に出ないで除霊することが多いのよ。番組にできる部分は安全なものと思っていいわよ。でも……ああいう心霊的な番組って霊的なものを刺激しないって作用も生まれるから完全に良くないとも思えないのよね
確かに、御先祖様のお墓参りとか大事だってのいうのは学んだ気がします
恵子さん
怖いものだよ、でも大事なものだよというのを視覚や疑似体験で知ることができるってのは小さい子には大事よね。私たちが今あることに感謝して、そういう環境を作ってくれたご先祖に手を合わせる。小さい時になんとなくで覚えた事が大人になってからちゃんと意味を持つようになればそれでいいと思うのよ
霊的な者の怖さや、優しさを見せてくれる番組でもありましたね
恵子さん
そそ。怖いだけじゃなく見守ってくれている、いつもそばにいてくれる。そういう存在だっていうことを伝えてくれるのは私はすごく良いと思ってたわね
またそういう番組ができてイタコの人や霊的な能力を持っている人への偏見が少なくなるといいですよね
恵子さん
そうねえ。だといいわねえ
今日は本当に、普通なら聞けない話のぎりぎりのところをありがとうございました。今後もそんなのがあればぜひ聞かせてください
恵子さん
「いつも手伝ってもらってるからね、またいつでもどうぞ

この記事を書いた人

小さいころから占いに興味があって、色々と勉強しているうちにどんどん好きになり、皆さんにも占いの良さを知ってほしくて記事を書いています。

知り合いに占い師や霊能力者、お寺の住職がたくさんいるので、その方たちにインタビューして記事を書いています。

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