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ゆい以前、スーパーに残留していたちょっと複雑な霊を、一応の浄化と除霊をした恵子さん。
今回はその後日談ができてしまったということを聞いたので、さっそくお話を伺ってきました。
私も、しっかりと終わったものだと思ってたし基本的にああいうことってそんなに頻繁に起きないものだからね
恵子さんは完全無償でイタコの活動をしている人ではありません。
ですが、法外な金額や法外な要求などはしない人です。
報酬はその行動に対して正当なものばかりであり、自分の知る範囲でやった仕事以上のものを要求したということはない人です。
スーパーからは駐車場を直してもらうことで手を打ったわよ。水回りと駐車場を直せば私は十分と思ったからね
息子さんたちからも土地のおいしいものと一封を頂いたので十分すぎるほどよ
あの後にね、少ししてから庭に花の破片とか、石の破片とか落ちるようになってね。うちに植えてるものじゃないから鳥が運んできたのかと思ってたのよ
最初は私もそうだと思ったのよね。でもね、私じゃなくうちの神様見習いの子が嬉しそうにしてる感じがしたのよ
そう。だから少し様子をみることにしたのね。少なくとも害のあるものはないのがはっきりしてたから少し時間をとってもいいだろうって思って
霊的な存在がこちらに干渉することは非常に少なく、恵子さんもこの時は鳥などの自然現象と認識していたそうです。
干渉などの際にはなんらかの交渉の材料であることが多く、その対価としての先払いであると考えてもいいかもしれません。
そうねえ。おかしいって意識するくらいには。ただ、心当たりがあるようでないってすごく複雑な気持ちになるのよね
うちなんかだと、そういうのがないのですぐに相談しちゃいますね
あまりおかしなことに慣れすぎてしまっているのも問題なのよね
それでね、こうなったら神様に聞いてみるのが一番だと思って聞いてみたのよね
それで、次にそれが起きるときに神様がそれを捕まえてくれるって話になって。私も希望されたお供えを準備して、また起きるだろう事態に備えてはいたのよ。まあこんな状態だし、山にあれこれ捕りに行っても人に会うこともなかったからね。極力普通に生活もしてたし
それで、またぽつぽつと不思議な石が落ちててね。それで神様に教えてもらった通りにしてみたのよ(方法は伏せさせていただきます)
いろいろと省いていうと、罠を張ったらかかっていたというべきかしらねえ
相手が人以外だと多少は厳しくなっても仕方ないじゃない?それで、一応武装して罠を見てみたのよ
そしたらねえ……見たことのある人というか、なんというか
あの息子さんを探す時にすごく大変だったあの人ですか!?
そうそう。その人がかかっていてね……私もどうしたもんだと思ってしまったのよ
成仏の手前というか順番待ち状態だったのよね。なのでこちらにも干渉ができる場所にいたというか。それでこっちにあれこれと届け物が来ていたのよ。どっちにしても心残りが多少はあるってことだから成仏するにも問題が起きてしまうからね
まあ、自分の預かってしまった部分があるからしっかりと心残りを解消させてあげようかと思ってね。幸い時間だけはあるから
目次
解決したはずの心霊現象その後!ともに学校へ
供養塔とかもまだ準備中だったみたいだからね、付き合うといっても早朝期ではないことも分かっていたし、何よりもここまでこちらに干渉するってことは何かしらの原因を取り去ってやらなきゃいけないのよ。それに……届くものがね、私たちにすれば不要であっても人ではない存在にとっては価値のあるものということもあるの。だとすればそういう存在を祀る側も全くの無視、無関係であることはできないのよね
常に恵子さんの言っている物事は対価と等価値であることが大事というやつですね
そういうことね。なのでその方と一緒にあちこちを回ったりすることと、やはり息子さんたちにもう一度二人、時間を合わせてきてもらうことをお願いしたの。息子さんたちも二回目だから今度はこちらを理解してくれているのと信頼もしてくれている。縁のある場所や思い出のある場所を教えてもらってね
恵子さんが一件の仕事にそこまで関与するのは珍しいですよね
イタコや除霊をする人は基本的に仕事として受けたものは必ず終わりを作ります。
安全性の確保、除霊が終わった、相談者の希望がかなった状態であればそれ以降に不要な関与はしないようになっています。
これは優良な霊能者を見分ける際にも小さな基準にすることもできます。
一度完結した依頼をあとから再度、よくないことが起きるなどの追加をしてこないことなども霊能者の見分けの一つと考えてもいいかもしれません。
万が一、完了後に関与する場合には明らかに相談者が異変を感じていることに対して霊能者が電話などで連絡を入れてくることがありますがこれはまだ依頼が完了していないという状態にもつながります。
ひとつの仕事は霊障がしっかりとおさまるまでがワンセットであり、依頼者が不安を感じていない、異変を感じていない状態で霊能者から不安をあおることはしません。
基本的にはね。区切りよく、しっかりと終わらせるが私たちの考えだから。それに対して今回は相手が人ではなく霊的な存在であるだけで、考えようによってはまだ希望がかなってないわけだからね
そうでもないわよ。仕事を最後までやらなければいけないというほうが近いわね
こんなに良くしてもらって、会えないと思っていた子供にも会えた。行くべき場所もいいところが来るようだ。そんな人に何かしらもっと返したい。それが根本にあったみたいね……悪い人ではないからこそ起きてしまった干渉だったのよね。ただ、そのお礼をするにもその人の霊的なものとかはすり減ってしまうからそれをもとの状態にしてあげるための時間と、行動かしらねえ
もらいっぱなしではないということでいいんでしょうか?
そこさえ理解してもらえればいいかもしれないわね。本人は意識していなくても過剰分のお礼は私のほうにいわゆるペナルティが起きてしまいかねないのもあるのよ。なので、そうならないように些細な取りこぼしでもしっかりとつないでいくのもイタコというかね、こういう生業をしている者には大事なことになるわね
といってもね、向こうも善意でやってくれてることだからね。こちらを困らせたいなんてないのよ。それにねえ……心残りで仕方なかったのよ。ちいさな子供を残していくのはね……納得していても埋めきれない感情ってあるのよね。なら、それを何とかするのも私の仕事だからねえ
まずは学校よね。息子さんたちが通った学校にお昼に行って、子供たちの声を聴いてもらったの。そこから中学、高校と回っていったのよ。高校がちょっと距離があったけれどもね
大学からは家を出る子も多いですものね。高校までは家から通って
そうなのよ。制服を着た息子さんを思い浮かべてたんでしょうねえ。何とも言えない気持ちが私にも流れてきてね。この入学式、卒業式までがきっと母親の関与できる部分って考えてたんでしょうね
実際におふたりとも高校卒業後におうちは出てしまったんですよね?
そうなのよ。なので、高校まで二人の進路を数日に分けて回ってみたの。通学路はこうだった、駅のここに自転車を止めた。そういう些細なところを見たいって追うのがたぶん、あったと思ったから。小学校の遠足とか、母親がついていくことのあるイベントとかの場所を追いかけた感じね
同じ学年の子供さんいる人にどこに行ったかとか、卒業アルバム借りたりしたわねえ。そういうとちょっと大変だったのかもしれないけども、目に見えてその人の空気というかまとってる霊力が変わっていくのがわかる分だけ大変というよりも良かったという気持ちになるのよねえ。成長を追いかけることでいろんなものが見えてくるのと、この人が行くべき場所を自覚していくのもわかってね
心霊相談の最後の心残りは子どもたちと過ごすこと
そうね。ただ、こっちに心残りがあってずっととどまってしまっても悪いものの餌になってしまうし、ここから離れられなくなってしまうからねえ。本人の気持ちを時間の折り合いはあるけれども、ちゃんと向こうに送ってあげないと
いつでも成仏できるっていうのは狙われやすいのよね。もともと悪い人じゃないから余計に
大変なんですねえ……そのあとはどうなったんですか?
息子さんたちに時間を作ってもらったわ。卒業アルバムを持ってきてもらって、ここにお母さんがいます、と説明をして三人で振り返っていって
事前にね、いいことだけ言わなくていいって伝えておいたの。つらいこともあったはずだから。そういうのも全部話してほしいって
確かに、男の二人でお母さんが亡くなってると色んな辛さはあったでしょうね……
母親がいないことのさみしさ、疎外感。反抗期というものを迎える余裕もなったこと、いろんなことをお母さんに向かって話してくれたのよね。お母さんの言葉は包まずに全部伝えていったの。最初で最後の親子げんかになったわ。でもねえ……これがあの人がしたかったことなのよ。息子たちの成長も、反抗期も、全部みたかった、悩んでみたかった。それもできずに悩ませてしまった、って言ってたからね
息子さんたちも泣きながら喧嘩していてね。私も、それを見ながら自分のやるべきことは大体終わったなあって感じてたのよ。その日の夜はお母さんは息子さんたちと一緒の部屋でうちで過ごしてもらったし。もちろん、うちの孫とかが間違ってはいらないようにあれこれはしたけれども
旅立つなら朝、見送られながらのほうがいいかと思ったのよ。迷わないように
この間、ずっとうちの神様たちも静かにしててくれて。邪魔が入らないようにもしてくれてたわ
そこは私にもわからないわね。私には本来関与できない存在だもの。神様ってそういうものなのよ。気まぐれでいろんなものを与えるし奪う。だからこそ、どんなふうに付き合っていくかが大事
なんか合わない神社に行ったらひどい目にあったとかも聞きますしね
神様の慣れの果てとかは本当にどうにもならないわよ。今度見せてあげるわね
息子さんたちは一晩、そこにいるお母さんと話をしたり、笑ったり、怒ったり、泣いたりしたそうです。恵子さんはご家族の方を別の場所に宿泊させて、家全体を一つの空間として使ったとおっしゃってました。これはお母さんの霊が強いから、ではなく、お母さんの霊を狙いに来るものを遮断するためだそうです。
したわよ。ちゃんと二人に送られて。息子さん二人からも丁寧なお礼を頂いたわ
恵子さんは退席し、別の部屋から何かの入った木箱を持ってきてくれました。
頑丈にひもで封がされており、私のような素人が見ても物々しい何かを感じました。
箱の大きさは15センチ四方程度であり、そこまで大きなものではありません。
箱の中には小さな座布団のようなものが敷かれていました。
占いなどに使う水晶を載せるものが一番近いかもしれません。
その上に載っていたのは水晶などではなく楕円形の石のようなものでした。
よく見れば表面には楕円の模様が入っており、中心に向かって規則性をもって幅が狭くなっているように見えました。
灰色のようなそれでいてガラスのような色は、形容が難しく天然石とも違ったように見えました。
石、ですか?その割には頑丈に蓋がしてあるというか……
こういうの数えるの苦手なんですよね……目も悪いので……
あの人の亡くなられた数の円周なのよ。つまり、魂のかけら……まではいかないけども、少なくともそういう大事なものが入れられた石と考えていいかもしれないわねえ
身代わりにもなるし、供物にもなる。そんな危ないものを上手に使える人なんてそうそういないし私もどうしたものかと悩んではいたのよ
心霊に詳しいイタコは事件や災いを予測できる?
人が扱えないものは、神様に決めてもらうべきでしょ?っておもったのよ。どうなるかわからないものを孫の近くにはおけないからね
で、神様にお供えしてこれくらい無害になってる感じね
まあ、うちの神様もそれなりに情の厚さがあるから悪いようにはしないでしょ。ちょっと巨大化はしてたけども
床の間に飾っても大丈夫ない程度には様々なものを吸い取ったというべきかしらね。こんな残りの状態でもそれなりの身代わりにはなるからねえ。危ない仕事が来たら使わせてもらうつもりで入るけども。イタコしてるとそれなりにいわくつきものは預かったり、勝手に来るようなことはあるけども……これは、ありがたい気持ちだからねえ。天気のいい日には箱から出してあげたいし、花の季節になったら連れて行ってあげたいわね
ねぎらってもらえるならお手伝いしてもらいたい事はあるのよね
社交辞令です、何度も言いますが社交辞令です。割の合わない仕事を素人にさせるのは事故の元です
まあねえ、今回はこうやってなんとかできたのも相手が一人だけだからなのよね。これが〇〇町(震災で大規模な被害のあった港町)とかだとこうはならないのよ。相手が集団から力業で消していったとしてもどんどん増えていく。最後にはこちらの消耗が大きくなって最悪の場合には取り込まれてしまうからね……ある程度人の手が入った今ならなんとかできるかもしれないけども、当時なんかは無理だったと思うわよ
地震や今回の疫病なんかは予想できないのか?とかいう声もありますよね
地球規模のことを予想できるのなんて神様くらいでしょ。それも相当の上級の。うちの神様でさえ腐った臭いがするとしか言わなかったから疫病というものは予想しづらいものではあるわね。予想しても対応できる人がいないものはいつだって追いやられてしまうものだから見える人でも黙ってしまう。地震は霊能力次第で予想できる人もいるわね
そうなんですね。私も予想とかできるのかな?ってはちょっと気になって
小規模の未来視はできても、ここまで大規模なものは相当能力の高い人じゃないと厳しいと思うわねえ……疫病で亡くなる人が見えても、私には病で亡くなるにしか見えないからねえ……そういう範囲の未来視がほとんどじゃないかしら
でもねえ、生き死には言わないほうがいいのよ。変えられる可能性もあるからね
それも含めて何とか伝えるのもイタコの役割ではあるからねえ
また、そのあたりは詳しく聞かせてください。きょうはありがとうございました