人工の神様との対面 岩手の人工の神様のお話?

人工の神様との対面 岩手の人工の神様のお話3

ナビを使いながらMさんの自宅を目指していき、寄り道はあったもののお昼過ぎには無事に目的地に着くことができました。
具体的な地名は言えませんが海と山がどちらも存在しており、東日本大震災の際にも被害のあった場所でもあります。

Mさんの誘導でMさんの自宅の敷地内に車を止めさせていただきました。
Mさんの自宅は瓦屋根の家ですがこれはこのあたりで一般的なようで他のお家も似た感じの瓦屋根の邸宅が中心でした。
Mさんは40代くらいの方でとても気さくな雰囲気を感じました。
清潔感のある方でアクティブな印象です。

Mさん
はじめまして、おまちしておりました
恵子さん
よろしくおねがいします
Mさん
あれを移動させておきました
恵子さん
だといまは蔵ではなくお家のどこかへ?
Mさん
はい、今朝方ですが親父と一緒に仏間の方に移動させました。さすがに埃だらけの蔵の中にご案内するのも申し訳なかったので……
恵子さん
Kちゃん、蔵でも大丈夫だったでしょ?
はい、こんなこともあろうかとサバイバルゲーム用のガスマスクを持ってきました二人分。マスクも防塵マスクでありますので
恵子さん
この子準備がいい子なのよ。霊感とかは一切ないけども直感がものすごく強い子ではあるのよ
今回は使わずに済みそうですね
Mさん
まさかですが、ガスガンもですか?
音をだすとひるむことが多いのでガスガンはさすがにあれだったので爆竹は積んでありますよ。量で音や爆破も調整できますからね
恵子さん
でも、室内であればそれはそれでありがたいものだからね。Kちゃん、荷物の移動をお願いね
Mさん
こちらが仏間になります
はい、ではこっちに荷物運ばせていただきますね

恵子さん荷物は今回は少なめなので、さくさくと移動させていきます。
その中でも神様の入った箱は丁寧に移動させて恵子さんとMさんの打ち合わせが終わるのを荷運びをしながら待っていました。
なにかのために玄関には爆竹の入ったポーチと小さなチャッカマンも置かせていただきました。
最近はこういったものが100円ショップですべて揃えられるので便利です。

荷物終わりました
恵子さん
ありがとうね。ではMさん、お願いしていたものも仏間に置いていただけますか?
地元のお水とお酒と岩塩でしたっけ?
恵子さん
私たちよそ者だからねえ。簡単に準備できないのがそのへんなのよね
たしかに普段だったら自力で準備できますもんね
Mさん
岩塩の準備が結構大変ではありました……
恵子さん
なにかのために、岩塩作ってる方とはご縁をもってたほうがいいわよ。私も岩塩は自分で作るよりも海の方の方にお願いしてるもの。少し値が張っても間違いのないものであればそれ以上の効果になるから
Mさん
では、こちらに……

仏間の中心におかれていた長方形の何かには白い布がかけられていました。
その布を外すと、すこし古びた匂いと湿ったほこりのようなにおいの棺のようなものがそこにはありました。
中に入っているものを予想すればおそらく棺なのでしょう。
大きさは大人用よりは小さく見えたのでおそらくは少年や少女といった年代の大きさかもしれません。

恵子さん
開けてもよろしい?
Mさん
どうぞ

恵子さんが箱をあけると一層その匂いが強くなりました。
なんとなく見たくない気持ちが勝っていたので私は呼ばれない限り見ないつもりでいました。

恵子さん
うーん……たしかに縫い合わせてはあるけどもこれは人でもあるけども人でもないというか……Kちゃん、いらっしゃい
その声掛けはいらなかったんですが
恵子さん
大丈夫よ。一部は人だけども大部分はそうじゃないから
はあ
恵子さん
Mさん、これは部分的にはひとです。この腕はそうですね。でもそれ以外は人ではないです。おそらくは精巧な革職人が野猿と、死体の皮膚を使って作ったものになります。あくまで予想ですがね。なので実際の本物はこの腕くらいです。ほかの部分は加工したものになりますので
そうなんですか?
恵子さん
まあ、そういった革職人をどこから連れてきたとかは私の範囲ではないけどもとてつもなく恨みやいろんなものを抱えてる方だったみたいね
あれですが、被差別的な……
恵子さん
そうなるわね。これが作られた当時だったら本当に扱いは酷かっただろうから何らかの流れでこちらにきて普通に仕事をして暮らしてたんでしょうね。でも誰かがそれをかぎつけてこれを作らせたんでしょうね。でもこんな精巧に作れるんだから技術の高さはわかるわねえ……

人工の神様はたしかに顔は三つ、腕は4本で都市伝説で読んだリョウメンスクナとはこういったものではないだろうかと思いました。
もしあの作者がこれをみてあれを書いたとしても納得できるほどです。
ですが、これは最近見つかったものでありリョウメンスクナが投稿されたときにはまだ蔵の中におそらくあったのでこれとの関係は少ないと思いました。

確かに多分人ではないですよね。頭の形も小さいですし
恵子さん
体も木製のものをベースにしてそこに皮を張っているのよね。この皮が部分的に墓荒らしか何かではがしてきたものだとは思うけども、まあ生きてる人間でどうこうではないからね。作り手が高いスキルをもっていたからこれくらい自然に作られてるしこれを何かに使おうとしたならば相当なものとしていい金額になったと思うわよ。これも作られて長いわね、
おそらくは江戸末期とかそういうときの飢饉のときじゃないかしら
いい感じにミイラ化したんですかね
恵子さん
これも技術ね。漆塗りみたいに内側からも漆と鉛を塗ってある感じで即身仏に近いような質感をだしてるもの
匠の技ですな
恵子さん
そうなるわねえ。こうやって見た目だけなら即身仏に相当近いものになってるもの
よかったです、私の恐怖センサーがそこまで動いてません

人工の神様と思わるものは木で作られた体に皮を張り、皮も漆や鉛などで加工しており当時の即身仏に近い状態をつくったようです。
実際に何度か即身仏の展示を見ていますが質感はかなり近くなっています。
即身仏の多くは寺院にありますが寺院を廃業した場合などは田舎であれば民間の邸宅になっても即身仏を保管しているなどもないとは言えません。
これも見ようによっては即身仏にもなる可能性はあります。

恵子さん
で、これは何かと言われればこれは呪物になります。これを作った人がまず世間に対する恨みを持っていたこと、それを忘れようとしてこの地で貧しくとも人として生きていたこと、その幸せをこれを作れといった人物に壊されたこと。作るものが個人ではなく一種世界に対しての憎しみを持っていた人なのよ。作るだけでも様々なものが入ってしまうのよね。でもこれを作った人は最後の一線はこえなかった。この腕はおそらく持ってこられたものだと思うのよ。素材の違うものを上手に組み合わせてるとこからも、技術の高さがわかるわね
この頭の部分はなんですか?
恵子さん
大きめの山猿か野猿だと思うわよ。それも丁寧に血抜きや加工をして骨を残してる。この部分の骨はきちんと加工をすれば劣化がすくないことをわかってるのもあるわね。時代を考えると職人のスタイルが見えてくるのはあるわねえ
Mさん
では、これは何に使うものだったのですか?
恵子さん
これはこれに災厄をかぶせて都に送ろうとしたんじゃないかしらね。このあたりもみんな等しく貧しかった。少しでいいから物資を送ってほしかった。それもかなわずに奪うだけのお上に対して憎しみを持っていたんでしょう。今よりもずっと情報も少なければ人権もなかった。今でも苦しんでいる人がいるくらいにね。そういった負の遺産を作ってしまうくらいであり、作られてしまった側は世界を憎んでしまうのよね
いまでも西の方ではひどいって聞きますからね。ここらでは集落ら地区の意味で部落を使いますけども、あちらでは意味が違いますし。向こうから業者さんとその話になった時にその方が“僕、東北回るときにここらの部落は今日お祭りがあるんですよとか言われても驚かないように。集落や地区の意味で使う人がほとんどだからって勉強受けてきましたよ”って言われましたね。こっち出身の方は“え、僕なんも知りませんでしたけどもそうなんですか?”ってなって、あっちのかたが“ですねえ。僕部落なんて口にもしたくないですもん”ってありましたからね。私は高校の時の日本史の先生が大学で勘違いをしてて“部落研究会”にはいったんだけども地区を調べるのかと思ったら非差別問題だった。俺がそうだったからみんなも一応少し勉強したほうがいいって授業を取ってくれたんですよね
Mさん
私もそういいったものはほとんど意識したことないですがやっぱりこの時代でもまだ根深いんですね……
そのあたりは難しい問題ですからね。東北はみんな等しく貧しかったからそんな上下を作るよりもみんなで生き残る方に重きをおいてたという考えですね。東北はそういったものから逃れてきてこっちで起業して因縁を断ち切ってる方も多いですよ。とくに畜産とかであの人はああいう所の人だから~みたいに言ってくる人がいてもそんなに気にしないんですよ。もともとそういったものが少ないっていうのがでかいとは思いますね
Mさん
そういわれると確かにそういった感じの方には心当たりはありますがその人もこのあたりに来て長い人ですし
気にならないんですよね。そういう土壌ができてるからこっちにきて普通に暮らせるならっていろんなものを捨ててきたり大学でこっちにきてそのまま就職して儲かってくるなって送る家もまだまだあるっていいますし
恵子さん
みんな同じ人には変わらないですからね。なので、これを作った人も人を手にかけることも人の臓物を使うこともしなかった。まあ今でもこれをそれなりの人に渡せばそれなりの価格になりますし、これを使って何かをしようと思うならそれができる人であればおそらく願いを聞き入れてくれると思いますよ
Mさん
……………………
恵子さん
でもねえ人を呪わば穴二つという言葉があるように、覚悟を持って悪意を持たなければいけない。悪気はなかったなんて通じないですし人間以外に何かを願う場合にはあちらの考える等価交換の対価を求められるんですよ。ましてそれが神格のあるものや人工的に神格を持たせてしまえばことさらに。なのでそういったことはしないほうがいいんですよ
なにか言われたときに悪気はないとかそんな気はなかったとか言われるとじゃあどんなつもりだったんだって思いますからね。悪気なく酷い事ができるほどの、くずなのかって言っちゃうことはありますね
恵子さん
人の心はそんなに綺麗なものじゃないですからね。そのなかでみんないろんなものを我慢して生きている。Mさんもお分かりだとは思いますが。まあ、どのような決定をするのも私たちではないので
Mさん
これを処分するにはどうしたいいですか?
恵子さん
まああまりいいとは言えないけども山奥とかで焼却か、焼却処分を寺院にお願いするのがいいと思いますよ。これに関しては海に流してはいけないですね。燃やしてしまうことを私はお勧めします
Mさん
ですね……
恵子さん
二泊の予定でしたがそこまで難解でもないかもしれないですね
Mさん
いえ、出来れば二泊していってください。何があるかわかりませんから
恵子さん
特に何もないと思いますよ。ですので一泊で大丈夫です
Mさん
これの処分ですよね
恵子さん
ですね。その辺は私の仕事ではなくなってしまうので。私はこれに、封だけさせていただきますね

恵子さんは箱に白い布をもう一度かけて愛子さんからもらってきた糸で縛り上げていきます。
その縛り方は偶然、ほどけることはなく これをほどくときは故意であることがわかります。

恵子さん
この塩と水はこの家にこれがある限り毎日この上にかけてください。今あるこの分が無くなったらそれで終わりでもいいですがその前に処理してくださいね
Mさん
これは今の所おいていても問題はないんですよね?
恵子さん
ないです。ただ、いいものもでもないです。リョウメンスクナや呪物ではないですがいつ何時呪物や禍を寄せるものになるのかはわかりません。これが出てきたのも、おそらくこれにしていた封が取れたんでしょう。これを作った方はおそらく本当に優しい方だった。だからこそ理不尽な扱いのないこの土地に来て安堵できるようになったのと、この土地の人を大事に思ってたんでしょうね。だからこそ封もしっかりとした。これはもともとMさんのお宅に合ったものではなくおそらく何らかの、どさくさでここに混ざってしまったんだとは思います。なので縁があるとかではないとも言えます。でもどうなさるかはMさんが決定権があります。同様に私も封をしましたので
Mさん
………………………
恵子さん
私も人以外のものや時に、神格を持ちかけたものとの交渉をすることがあります。ですが、人と人以外のもの、人と元人だったものは相いれないものです。それを忘れないでください。人のように恩義などもありません。人以外のものも人だったものも等価交換を求めてきます。その願いが大きければ大きいほど求められるものは大きくなります。それをお忘れなく
Mさん
………………………
猿の手みたいにスリーカウントの前のツーカウントでやめとけって感じですか?
恵子さん
そこまで「猶予もないわよ。願いをもってこれにたいして接すればこれの中に何かが入ってしまえばそれを叶えてしまうくらいの何かはあるかもしれないもの。中に何が入るかはわからないし。でもね、これは作られた時点でもう恨みが入っているのよ。そんな中にいいものは入らない。この中に無理やりに命や命あるものを入れても同じよ
置いててもいいけども燃やせるなら燃やしたらいい……処理場に持っていく前の不燃物とか古い瀬戸物みたいですね
恵子さん
まあ処理場でなんとかできばいいけどもこれはそうじゃないからね。杯にするか土に返すかになるわねえ……守り神になるとこもないし
Mさん
その、処理するさいに恵子さんに連絡は……
恵子さん
しなくていいですよ。何かのために私は1か月連絡先は残しますけどもその後は消しますので。これはすべての方に同じですから。この子のナビの住所も消しますし。そこは確認していただきます。これもすべての方に同じです

Mさんのおうちでのできることを終えたので住所と電話番号の消去を確認していただき、当日の宿へと向かいました。
一泊で帰る予定だったのですがMさんの強い要望でもう一泊し予定通りの二泊三日で岩手を後にすることになりました。
なにかが起きたときようにともう一泊を要望された形ですが何も起きることはなかったので三日目の朝ご飯をいただいて宿を出ることにしました。
二日目の夜に宿の方のご厚意の夕食がすごいことになっており、恵子さんは食後に神様の箱を持ってた宿の中をうろうろしていました。
宿の人の気持ちに対して宿の中にいる古いものであまりよくないものをちょっと神様の食事にして神様にも旅行を楽しんでもらったということだったのできっとそういうことなのだと思います。
宿の方も朝には久々に耳鳴りや軋みのない睡眠ができたとおっしゃっていて、岩手でのあれこれはだいたいこれで終わったことになります。

そこまでの恐怖体験はなかったのですがMさんの事がなんとなく気になりました。
しかし余計なことに顔を突っ込むと、ろくなことにならないのはよくわかっているので黙っていました。
このMさんの態度はこちらに帰宅してから判明することになります。
都市伝説のリョウメンスクナとは違ったものですがまだまだ世界には不思議なものがあると思える数日でした。

この記事を書いた人

小さいころから占いに興味があって、色々と勉強しているうちにどんどん好きになり、皆さんにも占いの良さを知ってほしくて記事を書いています。

知り合いに占い師や霊能力者、お寺の住職がたくさんいるので、その方たちにインタビューして記事を書いています。

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